結節性硬化症 院内診療連携
結節性硬化症(tuberous sclerosis complex, TSC)は、生まれつき全身の様々な臓器に過誤腫(良性腫瘍の一種)が生じやすい疾患(神経皮膚症候群)のひとつで、1万人に1人の割合で患者さんがいると推測されています。
しかし、結節性硬化症は生まれてから大人になるまで、非常に多彩な症状が表れます。
・出生前、新生児~:心臓腫瘍、皮膚症状
・乳幼児期~:てんかん、知的障害・発達障害(TAND)、網膜過誤腫
・学童期~:脳腫瘍(上衣下巨細胞性星細胞腫、SEGA)
・思春期~:腎腫瘍(腎血管筋脂肪腫、renal AML)
・成人期~:肺リンパ脈管筋腫症(LAM)
このように年齢によって多岐にわたる症状を的確に診ていくためには、あるひとつの診療科に偏らずに多診療科にまたがる診療連携が必要となります。そこで、当院では結節性硬化症の患者さんを多診療科で連携して診療する取り組みを始めました。
お知らせ
現在、点頭てんかんに適応を有する抗てんかん薬サブリル(一般名 ビガバトリン)の処方について、当局が求める体制を当院は有しておらず、同薬を当院から処方することができません。ご理解のほど、何卒よろしくお願いいたします。
診療体制
各科の初診担当
小児科 神経初診外来または小児科初診外来
泌尿器科 VHL病・結節性硬化症外来
脳神経外科 脳腫瘍外来、てんかん外来
呼吸器内科 呼吸器内科初診
皮膚科 初診外来
眼科 初診外来
受診を希望される患者さんへ
先に述べたとおり、結節性硬化症で病院を受診する理由は多岐にわたります。受診を希望される患者さんは、紹介状と受診理由(下記参照)を添えていただき、予約をお取りください。
中学生以下の患者さんでは、まず小児科を受診ください。小児科では、結節性硬化症の患者さんの以下のようなことについて、受診することができます。
・神経班 :てんかん、発達(TAND)の診療
・循環器班:心臓腫瘍の診療
・腎臓班 :すでに発生した腎腫瘍(renal AML)、嚢胞腎の診療
高校生以上の患者さんで受診科がご不明の場合は、まず皮膚科を受診ください。
年齢にかかわらず受診理由がありましたら、以下の診療科がご案内できます。
・脳神経外科:脳腫瘍(SEGA)、難治性てんかんの外科治療
・泌尿器科 :腎腫瘍(renal AML)
・呼吸器内科:肺病変(LAM)
・皮膚科 :各種皮膚病変
結節性硬化症の包括的な管理治療については、日本結節性硬化症学会が掲げる専門的な臨床医(小児科 水口雅)の指導監督のもと、院内ならびにご紹介病院と連携して行ってまいります。
治療方針
当院では、小児から成人まで結節性硬化症において治療を要する症状・病変に対して最適な治療を提供すべく、包括的な診療に取り組みます。定期的および臨時に行われるカンファレンスにおいて、新規症例の診断、各患者さんの治療方針ついて詳細な検討を行います。
得意分野
- 小児てんかんの診療(点頭てんかんのACTH療法を含む)
- SEGAの神経内視鏡的摘出術
- 難治性てんかんの外科治療(迷走神経刺激療法を含む)
- renal AMLの塞栓術・手術
- LAMの肺移植
当院は肺移植認定施設であり、内科的治療に抵抗する難治例においては、 適切なタイミングで呼吸器外科と連携し肺移植についてもご提案いたします。