放射線科

放射線科は、放射線診断部門・核医学部門・放射線治療部門の三つに大きく分かれています。
放射線診断部門では、各種画像検査(X線撮影・CT・MRI・血管造影など)の実施および画像診断(報告書作成を含む)を行っています。この他、インターベンショナルラジオロジー(いわゆるカテーテル治療)の手技を用いて、様々な腫瘍や血管病変の治療を行っています。
核医学部門では、放射性同位元素(RI)を用いたシンチグラフィ検査の実施および画像診断を行っています。シンチグラフィ検査は、患者さんに投与したRIを追跡して画像化し、病気の検出・診断を行うものです。この他、CTのように体の断面を見ることのできるSPECT・PET検査も行っています。
放射線治療部門では、がんなどの病気に対して放射線を用いた治療を行っています。放射線による治療は、肉体的負担が少なく、形態と機能を温存できるという利点があり、病気の種類や進行度によっては、放射線のみであるいは抗がん剤と組み合わせてがんを治すことも十分可能になってきています。

お知らせ

現在、放射線診断・核医学部門では、患者さんからの直接の検査依頼をお受けしておりません。症状・病気に応じた適切な診療科を受診いただいてから、検査をお受けすることになりますので、ご了承ください。

放射線治療を目的とした初診は予約制になっております。放射線科深部治療外来(電話 03-5800-8667ダイヤルイン、受付時間 9:00ー15:00)で御予約ください。セカンドオピニオンを目的とした御相談も承っております。初診の際にはできるだけ紹介状をお持ちください。

【医療機関の方々へ】
御紹介にあたっては、診療情報提供書(紹介状)をいただければ幸甚に存じます。原則として、病理情報、画像情報も御教示ください。放射線治療目的の入院も可能ですので御相談ください。

概要

診療体制

以下のスタッフおよび研修医・大学院生などで、各部門の臨床業務ならびに研究・教育を行っています。

[教授]
阿部 修
[准教授]
山下 英臣/高尾 英正/渡谷 岳行
[講師]
花岡 昇平/雨宮 史織/五ノ井 渉/片野 厚人
[特任講師(病院)]
柴田 英介/扇田 真美
[助教]
八坂 耕一郎/渡邉 祐亮/白田 剛/中井 雄大/久保 貴俊/澤柳 昴/黒川 遼/貝梅 正文/三木 洋介
[特任助教]
戌亥 章平/越野 沙織

次のような症状をお持ちの方が対象

放射線診断部門・核医学部門は、特定の症状にはよらず、画像検査を必要とする全身の様々な病気が対象となります。
放射線治療部門は、特定の症状ではなく症状を引き起こす病気の種類によって治療の適否が異なります。したがって、病気を正確に診断した後に、治療の適応・方法を検討することになります。

治療方針

いずれの部門も、様々な臓器・病気を対象としており、各診療科との連携のもとで診療を行っています。
主に画像検査を行う放射線診断部門・核医学部門では、患者さんの病気に応じた最適な検査を行うように心がけています。多様化した画像検査の中で、それぞれの検査の特性を生かした精度の高い画像診断を行っています。また、装置の進歩によって増大しつつある画像情報を効率よく管理するために、人工知能開発・被ばく管理にも取り組んでいます。
放射線治療部門では、がん診療のさまざまな段階で放射線治療が大いに貢献できるように心がけています。技術面では、放射線治療における線量分布の最適化等の物理工学的研究を従来から行っており、またがん病巣をピンポイントに照射する方法にも早くから取り組んできました。入院ベッドを5床有しており、このなかには、甲状腺疾患のアイソトープ治療で用いる放射線治療病室2床も含まれています。末期がん患者を対象とする緩和医療にも、緩和ケア診療部との深い連携のもと、積極的に取り組んでいます。

得意分野

放射線診断部門では、肝腫瘍やびまん性肝疾患の診断、肺腫瘍のCT診断、肝移植や肺移植に関わる画像診断、脳腫瘍や神経変性疾患のMRI診断、胃がんや大腸がんの深達度診断、新しい撮像法を用いたMRIによる脳機能の評価、高解像度の画像を用いた三次元処理などに重点をおいています。また、インターベンショナルラジオロジーとしては、肝がんの塞栓化学療法をはじめとして、化学療法のためのポート留置、動脈瘤や血管奇形の塞栓術、緊急の出血に対する塞栓術、血管形成術、全身ほぼすべての臓器のCTガイド下生検などを行っています。
核医学部門では、PETを用いた悪性腫瘍の診断、脳機能の評価、SPECTによるアルツハイマー病などの認知症の診断などに力を入れています。また、β線やα線を放出する非密封放射性同位元素をもちいた内用療法も多くの診療科と連携してすすめています。
放射線治療部門では、頭部・体幹部の定位放射線照射(脳転移や肺がんなど)、悪性脳腫瘍での大線量照射、甲状腺がんの放射性ヨード内用療法、食道がんや子宮頸がんでは同時併用化学放射線療法により、また胃悪性リンパ腫や前立腺がんでは放射線治療単独での非切除根治治療、乳がんでの乳房温存療法、肝臓がんの門脈内腫瘍塞栓に対する照射、直腸がんにおける術前化学放射線療法などに重点をおいています。

対象疾患

放射線診断部門・核医学部門は、画像検査を必要とする全身の様々な疾患が対象となります。放射線治療部門は、多くの悪性腫瘍の他に、良性疾患(良性脳腫瘍・脳動静脈奇形など)も対象としています。

先進・特殊医療

マルチスライスCTを用いた画像処理

高速かつ高解像度の画像を撮影可能なCT装置を備えており、3D画像作成などの画像処理を行っています。科内に画像情報処理・解析研究室を設立しており、臨床診療への対応および基礎研究を行っています。

造影MR angiography(MRA)

主に頭頚部領域の一部の疾患を対象として、造影剤を用いたMRAを行っており、高解像度あるいは高時間分解能の血管の画像を得ることができます。非侵襲的に、血管解剖あるいは血流動態を把握可能です。

PET

様々なトレーサーを用いて、悪性腫瘍の検出および悪性度・進行度の評価、脳神経疾患の評価、脳血流の定量測定などを行っています。また、新しいトレーサーの開発研究も行っています。

頭部への定位放射線照射

頭蓋内疾患に対し、1mm以内という高い位置精度で、放射線を正確に照射する技術であり、ガンマナイフおよびわが国に数台しかないC-arm型ライナックを用いて行っています。転移性脳腫瘍、脳動静脈奇形、良性脳腫瘍(聴神経鞘腫、髄膜腫等)などが対象となります。

体幹部への定位放射線照射

胸部や腹部の疾患に対し、5mm以内という高い位置精度で、放射線を正確に照射する技術です。肺腫瘍(原発性または転移性)や肝腫瘍(原発性または転移性)が代表的な対象疾患です。原発性肺がんについては、全国の複数の施設で共同して、多数のデータを集めています。前立腺癌の根治目的には1日おきの5回だけで終了する定位照射を積極的に実施しています(保険適応内の治療法です)。

強度変調放射線治療

強度変調放射線治療は、1方向からのビーム内の放射線強度を不均等にすることで、腫瘍への放射線の集中性を高め、かつ周囲の正常組織の線量を減らす技術です。厚生労働省の先進医療として認められています。当科では前立腺がん・頭頸部腫瘍を中心に行っています。

甲状腺がんの放射性ヨード内用療法

分化型甲状腺がん(乳頭がん、濾胞がん)のうち再発症例を中心に、甲状腺がんがヨードを取り込む性質を利用して、放射性ヨードカプセルを内服する治療法です。原則として5日間放射線治療病室に入院していただきます。

主な検査と説明

外来

  • CT
  • MRI
  • 核医学検査(シンチグラフィ・SPECT・PET)

入院

  • 血管撮影

科長

阿部 修(あべ おさむ)

阿部 修(あべ おさむ)

プロフィール

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【予約センター】10時00分~17時00分(平日)

TEL:03-5800-8630