血管外科
血管外科では頚部、胸部、腹部、上肢、下肢の動脈・静脈・リンパ管に関係するあらゆる疾患を取り扱っています。ただし、心臓疾患は含まれておりません。
お知らせ
- 血管外科では月曜日から金曜日まで、毎日専門外来を開いています。担当医師・曜日により診療時間が異なっている場合がありますのでご確認ください。
概要
診療体制
病院教授(診療科長)1、講師1、特任講師2、助教1、大学院生9の構成で、血管外科専門外来を月から金曜日まで毎日、予定手術を週3日、救急手術を随時、血管撮影・機能検査を週4日行っています。
治療方針
初診時は無侵襲血管機能検査を、必要に応じて血管撮影、CT、MRIなどを施行し、これらの検査結果と患者さんの全身状態を考慮して治療方針を決定します。血管外科患者の多くは高齢者ですが、QOL向上のために積極的に治療を検討しています。
得意分野
腹部大動脈瘤、動脈閉塞症といった動脈疾患、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症などの静脈疾患、リンパ管疾患等、血管外科全般にわたり、国内各地から患者が訪れています。特に、重症虚血症に対する診断・治療は国内でも先駆的な役割を担っています。
また、腹部大動脈瘤に対する低侵襲治療であるステントグラフト内挿術に関してもステントグラフト認定施設であり、実施医・指導医が在籍しております。
その他
わが国でもっとも歴史の古い血管外科の一つであり、常に日本の血管外科をリードしてきました。現在も最新の診断と治療を取り入れ、多くの手術症例数と豊富な経験を誇っています。
対象疾患
胸部下行大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤、その他の動脈瘤(内臓動脈瘤、四肢動脈瘤など)、閉塞性動脈硬化症(ASO)、バージャー(ビュルガー)病、大動脈炎症候群、頚動脈狭窄、レイノー病、外傷性動脈閉塞、透析患者における内シャント不全、下肢静脈瘤、深部静脈血栓症、血管腫、動静脈奇形、リンパ浮腫など
主な検査・治療と説明
外来
- 血管撮影、血管生理的検査、血管超音波検査など
入院
- 血管撮影(主にSeldinger法を必要とするもの)
当科における低侵襲治療
- 腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療
腹部大動脈瘤に対して、足の付け根(そけい部)の動脈から血管内の操作でステントグラフト<金属の補強(ステント)のついた人工血管(グラフト)>を留置する治療法です。傷は主にそけい部の二箇所(数cm程度)のみで、従来の腹部を大きく切開して人工血管を移植する開腹手術に比べて、侵襲(手術のストレス)が少ないことが特徴です。
高齢の方、心臓や脳に持病がある方、呼吸器機能が悪い方、これまで腹部の手術を受けたことがある方なお、通常の開腹手術に伴う危険性が高い場合に良い適応となります。
企業製造ステントグラフト2種(Zenith endovascular,Excluder)が平成18年に厚生労働省より使用承認され、平成19年に特定保険医療材料として認可されました。(現在は5種)
ステントグラフト使用にあたっては、ステントグラフト実施基準管理委員会によって承認された実施医もしくは指導医によって、認定施設において行われなくてはなりません。(詳細はhttp://www.stentgraft.jp/index.htm をご参照ください。)当院はステントグラフト認定施設であるとともに、当科では実施医・指導医が在籍して全てのステントグラフト治療に携わります。
- 経皮的血管形成術(PTA)・金属ステント留置術
動脈や静脈の狭窄部をバルーンカテーテルで拡張したり、その部分に金属ステント(ステンレス製の網目状の筒)を挿入して改善する治療法です。一般の外科手術よりも低侵襲であり、患者さんの身体への負担が少なく、全身麻酔が不要、疼痛が少ない、入院期間が短いというような長所があります。
- 下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術
下肢静脈瘤に対して、レーザーで原因となっている血管を焼く治療法です。1cm弱程度の切開をおいて目立つ静脈瘤自体の切除を同時に行うこともあります。
レーザー焼灼術は、従来の原因血管を抜きとるストリッピング術に比べて、傷が小さく、手術時間も短く、また術後すぐに歩行可能であるといった特徴を持っています。また抗血小板薬や抗凝固薬などの血をサラサラにする薬を内服されている方もリスクが少なく治療を受けて頂けます。
当院は血管内レーザー焼灼術実施・管理委員会の実施施設認定をうけ、実施医の資格を持った医師が治療を行っています。