女性骨盤センター
世界的にみても、妊娠・出産を経験した約半数の方が、何らかの形で骨盤臓器脱症状をもつと言われております。全女性の約1割は80歳になるまでに尿失禁あるいは骨盤臓器脱の手術を受ける可能性があるため、これら女性への適切な治療介入は社会的にも重要であります。日本全体の社会の高齢化は急速に進行していますが、同時に女性の健康寿命延伸のため、頻度の多い疾患骨盤臓器脱の治療的介入は、診療科をまたがったものである必要性をわれわれは実感しておりました。この度、2020年9月より「女性骨盤センター」が設立されることになり、女性の骨盤にまつわる様々な問題を、女性外科、泌尿器科、大腸外科のエキスパートが診療にあたります。
お知らせ
骨盤臓器脱に関する診察、治療をご希望の患者さんは、かかりつけの先生などから紹介状を書いて頂き、東大病院予約センターにお電話下さい。各診療科の得意分野は下記の通りで、ご希望があれば紹介状を書いて頂くときに診療科あるいは医師をご指定下さい。女性骨盤センター宛で、特に診療科や医師の指定がない紹介状をお持ちの場合は、最初に女性外科もしくは泌尿器科の医師が診察します。
概要
診療体制
女性の骨盤状態に関連した疾患を取り扱います。骨盤臓器脱は、膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤といった、多くの骨盤底を支持する組織の破綻から生じるものであり、産婦人科、泌尿器科、大腸外科という、関連する診療科が総合的に診療をおこなう体制を構築しております。
女性骨盤センターに参加している診療科の得意分野と外来担当医師は以下の通りです。
- 女性外科
大須賀 穣(センター長)
平池 修
宮本 雄一郎
泉 玄太郎 - 泌尿器科
久米 春喜(副センター長)
山田 雄太
佐藤 悠佑 - 大腸・肛門外科
石原 聡一郎(副センター長)
永井 雄三
治療方針
膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤は、おのおの得意とする手術が異なりますので、診療科を通じた討論を経て、患者様に最適な治療選択肢を提示致します。
得意分野
子宮脱および膀胱瘤に関しては、低侵襲手術、特に腹腔鏡下仙骨腟固定術をおこなっておりますが、従来型の手術である、腟式子宮全摘出術、前後腟壁形成術、腟閉鎖術、などをおこなっております。
対象疾患
骨骨盤臓器脱全般の他、以下のような疾患も扱っておりますが、患者さんの訴え(臓器下垂感、尿失禁など)が重要です。ご判断が難しい場合でも確かな診療を提供致します。
骨盤臓器脱(膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤、小腸瘤)、尿失禁などが主な対象疾患です。
主な検査と説明
内診で骨盤臓器の下垂状態を診察し、質問表、排尿検査(残尿検査、ウロフロメトリー、ウロダイナミクス)などをおこない骨盤臓器の状態を調べます。結果は随時外来にてお知らせします。必要に応じて遺伝子検査など、さらに詳しい検査も行います。骨盤臓器脱に対して行う仙骨腟固定術という手術では、メッシュ(ポリプロピレン製)を使用します。したがって、糖尿病の一部の患者や免疫力が低下している患者には本術式を施行できない可能性があります。全身状態、ご年齢などで、おこなえる術式を適切に選択致します。
骨盤底筋体操(2&4体操)
骨盤底筋群を意識して動かし鍛えることで、骨盤臓器脱症状の改善につながる可能性があります。
既に症状がある場合、また将来的な骨盤臓器脱の予防のための骨盤底筋体操を紹介しています。詳しくは専用サイトをご覧ください。