呼吸器外科
呼吸器外科は肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、胸膜・胸壁腫瘍などの胸部腫瘍疾患の手術治療を行っています。気胸、その他手術治療が必要な良性胸部疾患に対しても手術治療を行っています。胸腔鏡手術を積極的に行い、術後早期の機能回復に努めています。また東大病院は2014年より肺移植認定施設となり、2015年4月、本格的に臨床肺移植を実施し始めました。以下の疾患については、当科では多数の方を治療しています。
- 原発性肺がんに対する外科治療を中心とした集学的治療 および胸腔鏡下低侵襲手術
- 転移性肺腫瘍に対する外科治療を中心とした集学的治療 および胸腔鏡下低侵襲手術
- 縦隔腫瘍、胸腺疾患に対する手術療法
- 自然気胸・その他の良性疾患や高齢者・低肺機能者に対する胸腔鏡手術
- 重症筋無力症に対する拡大胸腺全摘術
- 末期呼吸不全に対する脳死および生体肺移植
お知らせ
さらに詳しい情報を知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。
- 東大病院 外科のホームページ
- 東大病院 呼吸器外科のホームページ
- ●「標準治療抵抗性の非小細胞肺がんに対するゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫細胞治療」の自主臨床試験を第3項先進医療(高度医療)として開始しました。(平成24年7月)
- 心臓ホルモンが肺がん術後再発を減らすかどうか検証するための研究「JANP Study」について
概要
診療体制
- 科長(教授) 中島 淳 (昭和57年卒)
外科専門医、日本外科学会指導医、日本胸部外科学会指導医、
日本呼吸器外科学会指導医、呼吸器外科専門医、呼吸器専門医、
気管支鏡専門医、移植認定医 - スタッフ(講師) 佐藤 雅昭 (平成11年卒)
外科専門医、呼吸器外科専門医 - スタッフ(助教) 北野 健太郎(平成15年卒)
外科専門医、呼吸器外科専門医 - スタッフ(助教) 此枝 千尋 (平成17年卒)
外科専門医、呼吸器外科専門医 - スタッフ(助教) 長野 匡晃 (平成21年卒)
外科専門医、呼吸器外科専門医 - スタッフ(助教) 柳谷 昌弘 (平成22年卒)
外科専門医、呼吸器外科専門医
治療方針
- 非小細胞肺がんに対する治療
肺葉切除・標準リンパ節郭清が原則ですが、術前肺門・縦隔リンパ節転移陽性診断例に対しては集学的治療ならびに拡大手術を考慮いたします。高齢者・有合併症例に対しては胸腔鏡下肺葉切除(VATS-lobectomy)を行います。胸壁・大血管浸潤例に対しては心臓血管外科と協力し、拡大切除を行います。 - 術前未診断肺内腫瘤(肺がん疑診)に対する治療
胸腔鏡下肺生検を行い、迅速病理診断の結果から肺がんであれば続けて肺がんに対する治癒手術を行います。このような早期の肺がんに対する手術の術後成績は非常に良好です。また2014年1月より当科では気管支鏡バーチャル3D肺マッピング(virtual-assisted lung mapping: VAL-MAP)法*を取り入れ、胸腔鏡下に触知困難な早期肺がん疑い病変の精密な切除を行っています。 - 胸腔鏡手術
自然気胸など良性疾患に対しては極力低侵襲である胸腔鏡手術による治療を行います。 - 転移性肺腫瘍
原発巣が治癒している事を条件として、肺転移に対して外科治療を行います。胸腔鏡による低侵襲手術を優先して行います。前述のVAL-MAP法*は転移性肺腫瘍の切除にも有効で、これまで切除困難だった5mm以下の小さな転移性肺腫瘍や化学療法後の残存小病変に対しても手術が可能となっています。肝臓転移合併例に対しては当院肝胆膵外科との協力の下に、肝臓・肺転移の両方を外科的切除します。
*インジゴカルミンを用いるVAL-MAPは2018年3月より保険診療として実施可能となりました。さらに当科では、電磁気誘導気管支鏡ナビゲーションシステムを用いたVAL-MAPや、マイクロコイルにより肺深部のマーキングも併用する次世代VAL-MAP(VAL-MAP2.0)を開発し臨床試験を行っています。詳しくは当科ホームページをご覧ください。
得意分野
- 原発性肺がんに対する拡大切除・郭清
- 原発性肺がんに対する胸腔鏡下診断および胸腔鏡下肺葉切除
- 転移性肺腫瘍に対する外科治療
- 胸腺腫・重症筋無力症に対する拡大胸腺全摘術
- 肺移植(脳死・生体)
対象疾患
- 原発性肺がん
- 転移性肺腫瘍
- 診断がはっきりしない肺内異常陰影
- 縦隔腫瘍、重症筋無力症
- 胸膜中皮腫、胸壁腫瘍
- 自然気胸、巨大肺嚢胞症
- 肺気腫
- 手掌多汗症
- 漏斗胸、胸壁腫瘍
※肺移植の適応疾患は当科ホームページをご覧ください。
先進・特殊医療
胸腔鏡下手術
肺・縦隔疾患に対する手術治療をテレビモニター観察下に内視鏡的に行う方法です。通常の開胸手術と比較すると低侵襲性である点が優れています。肺がんに対する肺葉切除・リンパ節郭清も本方式で可能です。
循環器疾患を合併する呼吸器疾患に対する呼吸器・心臓同時手術
手術治療を要する悪性肺・縦隔疾患患者に虚血性心疾患などの循環器疾患を合併した場合に、心臓手術と呼吸器手術を一期的に施行します。
末期呼吸不全に対する肺移植(脳死・生体)
間質性肺炎、肺気腫、肺高血圧、リンパ脈管筋腫症、造血幹細胞移植後肺障害などの良性疾患による、内科的治療で改善が見込めない末期呼吸不全に対し脳死および生体肺移植を行うことがあります。詳しくは当科ホームページをご覧ください。
触知困難肺結節に対する気管支鏡バーチャル3D肺マッピング(virtual-assisted lung mapping: VAL-MAP*)法を用いた精密胸腔鏡下縮小手術
手術から2日以内に局所麻酔下に気管支鏡を使って、肺表面の複数個所に少量の色素(インジゴカルミン)を噴きつけ、肺表面に「地図」を描くことで精密な手術を可能とする新しい方法です。詳しくは当科ホームページをご覧ください。
胸腔鏡下交感神経切除術
手掌多汗症に対して胸腔鏡下に胸部交感神経を切除するもので、少ない侵襲、短い入院期間によって本症に即効的な効果をもたらします。
肺気腫に対する容量減少手術
肺気腫によって過膨張した肺容積を適度な肺切除を行うことによって、肺残気量を減少させ、横隔膜運動を適正化させ、呼吸機能を向上させます。
切除不能肺がん・再発肺がんに対する免疫療法
標準的な治療に対して抵抗性の再発・進行肺がんに対して、γδ(ガンマデルタ)T細胞を用いた免疫細胞治療の自主臨床試験を第3項先進医療(高度医療)として行っています。
科長
