病院長挨拶

病院長 瀬戸 泰之

「よりよい医療」を目指して

東京大学医学部附属病院ホームページをご覧いただき、ありがとうございます。

当院の歴史は、1858年神田お玉ヶ池種痘所設立を源流とし、その後組織改編を経て、1876年本郷本富士町旧加賀藩邸内に新営、移転し、1877年東京大学医学部附属病院と改称されております。よって、当院は160年以上の歴史を有する、わが国を代表する大学病院のひとつであります。日本近代医学の黎明期より、優秀な人材を多数輩出し、医学・医療の発展と医学教育に貢献して参りました。大学病院の使命が、診療、教育、研究の3本柱であることは言うまでもありません。これらを遂行するために、「臨床医学の発展と医療人の育成に努め、個々の患者に最適な医療を提供する」ことを理念として掲げ、また、①患者の意思を尊重する医療の実践、②安全な医療の提供、③先端的医療の開発、④優れた医療人の育成を目標としています。

年間延べ64万人の外来患者さん(1日平均2,628人)、延べ34万人の入院患者さん(1日平均919人)の診療を行っています。手術件数も年間1万1千件を超え、国立大学病院では、1、2の件数となっています。それらの診療を支えるために、医師、看護師、薬剤師のほか、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などのメディカルスタッフ、事務職など多くの職種で総勢約4千人を超えるスタッフが働いています。周産期医療、小児医療、臓器移植医療、がん医療、重症症例に対する集中治療、難病に対する治療など当院の重要な役割として更なる充実を図ります。また、高度の医療を行う砦として、地域に根差した診療にもなお一層貢献していく所存です。当院は高度の医療を提供する特定機能病院(全国87施設)、質の高い臨床研究を推進する臨床研究中核病院(全国14病院)、またがんゲノム医療中核拠点病院(全国12施設)のすべてに認定されています。2022年、NEWSWEEK誌が発表したWorld Best Hospitalでは、わが国1位、世界でも13位の病院として評価されました。誇らしく感じています。これも全職員一丸となった日ごろの取り組み、すなわち、日常診療においても、すべての部門の総力を結集した総合力・チーム医療で、わが国のみならず世界にも誇れる最高水準の医療が行われていることの証と自負しています。すべては、患者さんファーストであり、“「よりよい医療」を目指して”という強い思いから取り組んでいます。

2020年初頭から世界を震撼させている新型コロナウイルスの猛威はまだ続いています。当院では、診療に大きな影響を与えるような院内感染は発生しておりません。全職員による十分な感染対策と、患者さんのご理解、ご協力があって初めてなしうることだと考えます。引き続き、大学病院としての役割を遂行していきます。しばしご不便をおかけすることと存じますが、何卒ご理解のほどお願いいたします。

「よりよい医療」を目指すためには、医療側の視点だけでは不十分です。これまでにも患者さん、ご家族などから多くの声が寄せられています。お褒め、感謝の言葉もあれば、厳しいご意見もいただいています。どちらも我々にとっては、大変貴重なものであり診療現場に還元していく必要があります。これからも東大病院が「よりよい医療」を目指し、前に進んで行くためにも、忌憚なきご意見をお寄せください。

2022年4月