病院長選考

東京大学医学部附属病院長候補者選考基準

令和8年3月19日
役員会決定

 国立大学病院は、医学教育と医学研究を任務とする大学の一部門であると同時に、高度かつ先端的な医療を患者に提供する医療機関であるという特殊性を有している。なかでも東京大学医学部附属病院(東大病院)は、日本の近代医学の黎明期より医学・医療の発展と医学教育に貢献してきた歴史と伝統のある病院である。大学病院としての使命を果たすために、「臨床医学の発展と医療人の育成に努め、個々の患者に最適な医療を提供する」という理念と、「患者の意思を尊重する医療の実践」、「安全な医療の提供」、「先端的医療の開発」、「優れた医療人の育成」、「働きやすい職場環境の実現」という目標を掲げている。
 近年の医療の進歩に伴い、患者の安全を第一とする医療安全管理体制の確保がますます重視されるようになっている。高度かつ先端的な医療を提供する使命を帯びた特定機能病院や大学病院においては、より一層高度な医療安全管理体制が求められている。特に病院長は、医療安全の確保に関する法的責務を負っており、医療安全管理についての十分な知見を持ち、強いリーダーシップを発揮できる者が選任される必要がある。
 一方、医薬品・医療機器の開発や臨床研究の実施に関して、関連する法律や倫理指針の改定等により、臨床研究における病院長の責務はますます重くなっている。さらに、初期臨床研修の必修化、日本専門医機構による専門医システムの改変、実習を重視した医学教育改革など、教育面における病院長の役割もますます増している。また、病院の予算規模の大きさから経営の視点も看過できない。
 医学教育、医学研究、高度医療の提供という3つのミッションに対応する高度で複雑なガバナンス体制が求められている大学病院においては、これらの責務を果たすことのできる資質と能力を持つ病院長を選考することが不可欠である。あわせて、不適切な利益供与等に対する厳格な態度と高い倫理観を備え、組織としてこれを許容しないガバナンスを構築・維持できることが求められる。医学教育、医学研究、高度医療の提供に係る利益相反を適切に管理するとともに、これを含む法令・ガイドライン及び学内規程を踏まえたコンプライアンス及びリスクマネジメント体制を整備・運用し、透明性の高い説明責任を果たすことができる者であることが重要である。加えて、常に組織の在り方を見直し、必要に応じ抜本的な改革を行い、牽引できる者であることが欠かせない。上記を踏まえ、東大病院の病院長候補者の選考基準及び求められる資質・能力等について、下記のとおり定める。

  • 人格が高潔で学識に優れ、「患者の意思を尊重する医療の実践」を指導できる人物であること。
    とりわけ、高い倫理観と強いコンプライアンス意識を有し、不正行為を自ら厳に戒めるとともに、組織としてもこれを許容しない姿勢を明確に示すことができること
  • 東大病院の歴史と現状について深く理解し、権限と責任を持って病院の管理運営に取り組むことのできるリーダーシップを有し、法令及び学内規程を遵守しつつ、公正性と透明性の高い病院運営を推進できること
  • 「安全な医療の提供」を第一に考える姿勢と指導力を有し、また、医療安全管理の十分な知識と経験を有すること
  • 東大病院又は東大病院以外の病院での組織管理経験を有し、高度かつ先端的な医療を提供する特定機能病院の管理運営能力を有すること
  • 「先端的医療の開発」のため、医学研究について十分な知見を有し、関係する法律や倫理指針を遵守し、管理者として臨床研究を実践・指導する能力を有すること
  • 「優れた医療人の育成」のため、学部学生や医師、メディカルスタッフの教育に熱意を持ち、医師をはじめ多職種の研修プログラムを適切に運営できること
  • 経営基盤の安定化に努め、適切な病院の経営判断ができること
  • 大学本部と緊密に連携して、大学が掲げる目標や課題に着実に取り組むことができること

以上

(令和7年度)東京大学医学部附属病院長候補者選考会議委員名簿

令和8年2月19日
役員会決定

氏名 職名 選定理由 任期
相原 博昭
略歴
東京大学
理事・副学長(経営企画担当)
病院を担当する理事
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第1号)
令和6年10月1日~
令和8年9月30日
菅野 暁
略歴
東京大学
理事
総長が指名する理事
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第2号)
令和8年2月19日~
令和8年9月30日
南學 正臣
略歴
東京大学大学院医学系研究科
研究科長・医学部長
医学部長
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第3号)
令和6年10月1日~
令和8年9月30日
野崎 智義
略歴
東京大学大学院医学系研究科
副研究科長・副医学部長
医学部長が指名する教職員
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第4号)
令和6年10月1日~
令和8年9月30日
中湖 博則
略歴
東京大学医学部附属病院
病院長補佐(事務担当)・事務部長
病院運営審議会から推薦された教職員
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第5号)
令和8年2月25日~
令和8年9月30日
武村 雪絵
略歴
東京大学医学部附属病院
病院長補佐(看護、ホスピタリティ担当)・看護部長
病院運営審議会から推薦された教職員
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第5号)
令和6年10月1日~
令和8年9月30日
中込 和幸
略歴
国立研究開発法人
国立精神・神経医療研究センター
理事長
国立精神・神経医療研究センター理事長であり、医師、病院管理者として病院運営・管理の豊富な経験を有し、病院運営の視点から医療及び医学に関する識見を有する学外者
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第6号)
令和6年10月1日~
令和8年9月30日
清水 至
略歴
公認会計士 公認会計士として病院監査等の豊富な経験を有し、病院経営の視点から医療に関する識見を有する学外者
(東京大学医学部附属病院長選考規則第3条第4項第6号)
令和6年10月1日~
令和8年9月30日
  • ※上記の委員が候補適任者となった場合は、委員を辞職する。(東京大学医学部附属病院長選考規則第6条第4項)

選考結果

氏名:久米 春喜
専門分野:泌尿器科・男性科
略歴:
 平成元年3月 東京大学医学部医学科卒業
 平成元年7月 日本赤十字社医療センター 医員
 平成2年7月 東京大学医学部附属病院 助手
 平成4年6月 国立がんセンター中央病院泌尿器科 レジデント
 平成15年4月 東京大学大学院医学系研究科泌尿器外科学 講師
 平成20年7月 東京大学大学院医学系研究科泌尿器外科学 准教授
 平成28年4月 国立国際医療研究センター泌尿器科 診療科長
 平成29年4月 国立国際医療研究センター手術管理部門 部長兼任
 平成29年12月 東京大学大学院医学系研究科泌尿器外科学 教授
 平成31年4月 東京大学医学部附属病院 病院長補佐(入院診療担当)
 令和5年4月 東京大学医学部附属病院 副院長(財務、診療担当)
 令和8年1月 東京大学医学部附属病院 病院長事務代理
選出事由:前任者の辞任に伴う選出
任期:令和8年6月1日~令和9年3月31日

  

選考理由

 人格・学識ともに優れ、東京大学医学部附属病院長候補者に求められる極めて高い資質・能力を備えている。
 現在、附属病院は大学附属化をはじめとする重要なガバナンス改革の途上にあり、社会からの信頼を着実に回復するとともに、学内外との円滑かつ建設的な連携の維持・強化が強く求められている。
 これらの要請に的確に応える資質を備えるとともに、改革に対する高い意識を有し、強いリーダーシップを発揮し得る人物であることは、久米氏が本年1月から務めている、病院長事務代理としての業務の遂行ぶりも踏まえ、判断したものである。
 以上を総合的に勘案し、病院長として最もふさわしい者として選考した。

  
  

選考過程

令和8年3月11日

 第1回東京大学医学部附属病院長候補者選考会議(以下「選考会議」)において、東京大学医学部附属病院長に求められる資質・能力を示した「東京大学医学部附属病院長候補者選考基準案」を審議。
 社会連携講座及び寄附金を巡る一連の事案を含む不祥事が発生したことを受けて大学本部に設置された医学系研究科・医学部・医学部附属病院改革検討委員会における議論を踏まえ、本会議は病院長に求められるコンプライアンス及びガバナンスに関する責務を一層明確化する必要が生じていると判断し、選考基準を見直して以下2点を追加。

  • 高い倫理観と強いコンプライアンス意識を有し、不正行為を自ら厳に戒めるとともに、組織としてもこれを許容しない姿勢を明確に示すことができること
  • 法令及び学内規程を遵守しつつ、公正性及び透明性の高い病院運営を推進できること

令和8年3月19日

 本学役員会にて「東京大学医学部附属病院長候補者選考基準案」を承認し、「東京大学医学部附属病院長候補者選考基準」を公示。

令和8年3月19日

 選考会議より医学部長に対し、病院長候補適任者の推薦を依頼。

令和8年3月19日

 医学部長より病院長事務代理に対し、病院長推薦候補者の推薦を依頼。

令和8年4月16日

 病院長事務代理より医学部長に対し、病院長推薦候補者を推薦。

令和8年5月14日

 医学部長より選考会議に対し、病院長候補適任者を推薦。

令和8年5月20日

 第2回選考会議において、病院長候補適任者の書類選考を実施。また、選考会議としての病院長候補適任者の追加は行わないことを決定。

令和8年5月26日

 第3回選考会議において、病院長候補適任者に対し面接による選考を実施し、総長に 推薦する病院長候補者を決定。
(選考にあたっては、当院に今後求められる役割を踏まえ、より実効的に職務を遂行し得るかという観点を重視し、総合的に判断。)

令和8年5月28日

 総長が次期病院長を決定。

以上