救急・集中治療科/集中治療部/救命救急センター・ER

救急・集中治療科は、救急診療と集中治療診療を包括的に捉えて診療を行っている。24時間365日、救命救急センター・ERを訪れる急病患者だけではなく、コードブルーやRapid Response System(RRS)などの院内急変患者に対しても、病態・状況に応じて各診療科と連携して初期診療・集中治療にあたっている。また、院内他診療科の重症患者や高侵襲の術後患者に対する集中治療を、担当診療科と連携して行っている。さらに、大規模災害時の救急医療や保健・予防活動までを包括的に行う災害医療マネジメント部(DMM)の運営も当科が中心となって担う役割のひとつである。

組織紹介

沿革

当科は1961年に救急処置室が設置されたことに端を発し、救急部は独立した中央診療施設のひとつとなった。1990年には国立大学で2番目となる救急医学講座が開設され、3次救急患者のみならず、各科に収容できない救急患者や院内重症患者の受け入れを行ってきた。その翌年、特定機能病院指定にあたり集中治療部に名称の訓令改正が行われ、救急部内に集中治療部が併設されることとなったが、当時から救急部・集中治療部として救急部と集中治療部が一体となって診療および研修にあたってきている。2010年には東京都から救命救急センター(厚生労働省指定)の認可を受けた。現在は院内外で発生する重症患者や緊急性の高い患者の救急診療・集中治療を当科が担っており、実態に即して2022年4月に救急・集中治療科へと診療科名が改変された。

救命救急センター・ER

24時間365日、消防機関や医療機関からの要請ならびに自力受診患者に対して、疾病を問わない急性病態の診療と原因疾患を問わない重症病態の診療を、多職種・複数診療科で連携して行っている。来院時に緊急度・重症度判定(トリアージ)を実施し、緊急度ないし重症度が高いと判断された症例に対応する部門が救命救急センターであり、それ以外の場合に対応する部門を当院ではER(Emergency Room)と呼称している。診療スペースとしては、救命救急センター初療室が3室、2次救急患者用スペースが4ベッド、専門診療が可能な個室診察室(小児科、産婦人科、眼科、耳鼻科、歯科)を含む診察室が7部屋設置されており、患者の症状・病態に応じて診療スペースを選択している。救急搬送患者に対しては救急・集中治療科医師が初期診療ないし診療科選定を行い、自力受診患者に対しては該当診療科当直医が診療を行っている。すべての診療科で原則的に1名以上の当直医を確保しているため、全領域にわたって救急診療を提供することができている。また、放射線部、臨床検査部、手術部、輸血部などの中央診療部門との連携により、緊急画像検査や緊急検体検査、緊急手術、緊急輸血にも24時間対応が可能である。

救命救急センター・ER受診患者は、診療領域や診療科、受診手段によらず、まず緊急度を判定して院内トリアージを行い、原則として救急・集中治療科医師は緊急性の高い患者の診療を、各診療科当直医師は低緊急の患者診療を行う体制をとっている。緊急手術やカテーテル治療、血管内治療、内視鏡治療を要する場合には、該当する専門科医やコメディカルで連携しながらチームで診療を行っている。また、コードブルーやRRSなどの院内急変患者に対する診療も、患者の病態や状況に応じて救命救急センター初療室で行っている。

初期診療を終えた患者の一部は、病態に応じて救命ICU(EICU:8床)ないし救急病棟(EW:12床)で引き続き入院診療を継続する。

救命ICU(8床)
心肺停止蘇生後、敗血症性ショック、多発外傷、急性薬物中毒などの疾患や、複数診療科での対応を要する病態の場合、救命ICUでクリティカルケアを行う。人工呼吸器・血液浄化装置・人工心肺装置などの機械的補助を用いながら、急性病態・重症病態の患者診療を行っている。救命ICUは2022年10月に日本集中治療医学会専門医研修施設として認定され、多施設からの研修も積極的に受け入れている。

救急病棟(12床)
全床で呼吸心拍モニターが設置されており、通常の病棟としての機能だけではなく、経過観察を要する患者に対するClinical Decision Unit(CDU)としての機能も有している。病院到着時には無症状である場合であっても、病歴や身体所見、検査データなどから急変の可能性がある場合や、自宅経過観察を行う前に精査を必要とする場合には救急病棟でモニターを装着して慎重に経過観察を行う。救急病棟は緊急度に基づいた診療と効率的な救急外来診療を提供するための役割も担っている。

集中治療部

集中治療部では、心臓手術や臓器移植をはじめとした高侵襲の術後症例のほか、心血管系疾患、敗血症、多臓器不全、ショックなどの重症症例の管理・治療を行っている。専従の集中治療医を中心に、内科系・外科系診療科、麻酔科などの専門性を有する医師および看護師、臨床工学技士、薬剤師、栄養士、理学療法士、言語療法士などの医療スタッフがOne Teamとなって連携しながら、昼夜を問わず診療にあたっている。

第1ICU(16床)
院内最重症患者の診療を担うICUであり、複数の臓器に障害を抱える患者の集中治療を行っている。重症心血管疾患・心臓手術後の管理を行うCardiac Care Unit(CCU)もこのICUに含まれており、近年急激に増加している臓器移植患者の周術期管理もここで行っている。専従の集中治療医が24時間365日常駐し、当該診療科担当医のほか、第1ICU専属看護師やICU専任の薬剤師、臨床工学技士、栄養士、理学療法士を含む多職種で患者の全身管理を行っている。人工呼吸器や持続的血液濾過透析(CHDF)、血漿交換(PE)、血液透析(HD)、大動脈バルーンパンピング(IABP)、経皮的心肺補助装置(PCPS/ECMO)、経皮的補助人工心臓(IMPELLA)、植込み型補助人工心臓(VAD)などを駆使しながら患者の状態をサポートし、治療を行っている。

第2ICU(18床)
ハイリスクな周術期患者や、一般病棟での入院診療が困難と判断された重症患者の診療を担うICUであり、近年では移植術後患者の亜急性期管理を担うICUとしても重要な役割を担っている。第1ICU同様に専従の集中治療医が24時間365日常駐し、平日の日中は術後管理を担当する麻酔科医が勤務している。集中治療医・麻酔科医が当該診療科担当医の他、第2ICU専属看護師をはじめとした多職種で連携しながら診療を行っている。人工呼吸器やCHDFなどの血液浄化療法もこのICU内で施行可能である。

危機管理

危機管理は大きく院内と院外に分けられる。院内での危機管理としては、急変患者が発生した場合に発令されるコードブルーや、状態悪化の兆候が表れた際に起動されるRRS対応などであり、当科スタッフおよび救命救急センター看護師が24時間365日体制で、東大病院構内で生じる急変患者の全対応を担っている。

当院は災害拠点病院であるとともに、災害派遣医療チーム(DMAT)が設置されているため、院外での危機管理にも関与している。大規模災害時の患者受け入れや医療チーム派遣に向けて、院内の災害対策マニュアル改訂や災害訓練、災害医療に関するセミナーの開催を行っている。

災害医療マネジメント部

スタッフ

初期研修医(約20名/月)および専攻研修医を含む20名程度の当科スタッフが院内に在籍しており、完全2交代制シフトで救命救急センター・ER、救命ICU・救急病棟、集中治療部における臨床業務・部署運営を24時間365日絶え間なく行っている。

科長

土井 研人(どい けんと)

土井 研人(どい けんと)

プロフィール

リンク

救急・集中治療科のご紹介(動画)

  • 当科について動画でご紹介します。(5分48秒)

受診予約のご案内

【予約センター】10時00分~17時00分(平日)

TEL:03-5800-8630