臓器移植医療センター
脳死ドナー移植(肝・心・肺・腎)、生体ドナー・献腎移植(肝・肺・腎)および植込型補助人工心臓装着術の増加に伴い、旧臓器移植医療部が改組され2020年度から新たに発足しました。
概要
診療体制
各臓器の移植部門とセンター所属のコーディネーターが関連部署と連携協力し円滑に運営を行います。生体ドナー・レシピエントやご家族が抱える問題の解決のため支援を行います。
治療方針
各臓器の移植適応検討委員会による移植適応決定、および各部門内で症例ごとに詳細な検討を行います。
各臓器移植の実績(2024年5月現在)
【心移植】
- 脳死心移植
222例(小児17例)の心臓移植を行いました(国内最多)。10年生存率89%と非常に優れた成績です。当院の心臓移植待機登録者は224名と国内最多です。 - 植込型補助人工心臓
重症心不全に対する循環補助として植込型補助人工心臓装着を256人に対して297回行いました(国内2番目)。大多数の患者さんが社会復帰あるいは復学しています。1, 5年生存率94%, 82%と非常に優れた成績です。現在約70名が通院中です。
【肺移植】
2015年4月から肺移植を開始し現在までに生体ドナー肺移植を29名、脳死肺移植を165名に行いました。近年移植数は増加し、2023年には42名に肺移植を行いました(国内最多)。人工呼吸器や人工肺(ECMO)を装着した患者さんの肺移植など、困難な症例にも対応しています。
【肝移植】
- 生体部分肝移植
現在までに875例を施行しました。1, 5, 10年生存率は93%、84%、82%と大変良好です。生体ドナーには安全を第一に考え、厳密な術前検査を行います。 - 脳死肝移植
96例の脳死肝移植(内7例は肝腎同時移植)を行い、5年生存率は95%です。 - 自己肝温存同所性部分肝移植、ドミノ肝移植などの実績もあります。
【腎移植】
- 泌尿器科と腎臓・内分泌内科が協力し合って術前から術後管理まで各々の得意分野を生かして診療します。
- 生体腎移植
血縁者間または非血縁者間(夫婦など)の腎移植です。血液型不適合腎移植、透析を経ない先行的腎移植も実施しています。内視鏡下手術によりドナーの方の負担軽減に努めています。現在までに86例施行し、5年生存率・生着率はともに100%です。 - 献腎移植
当院で登録待機中の患者さんは現在89名です。現在までに24例の献腎移植を施行しています。
対象疾患
- 肝移植
胆道閉鎖症、代謝性肝疾患、ウィルソン病、シトルリン血症、家族性アミロイドニュロパチーなど、急性肝不全、ウイルス性(B型・C型)非代償性肝硬変、アルコール性肝硬変、非アルコール性脂肪性肝硬変、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、慢性胆汁鬱滞症、原発性肝細胞がん( 生体肝移植の保険適用はミラノ基準内のみ、脳死肝移植の適応は癌が5cm以内、個数5個以下、AFP500以下、生体肝移植においては自費診療として適応拡大)など。 - 心移植
特発性心筋症、虚血性心筋症、末期心臓弁膜症、重症先天性心疾患など。 - 肺移植
間質性肺炎(特発性、膠原病関連などの続発性を含む)、肺動脈性肺高血圧症、骨髄移植後肺障害、気管支拡張症(びまん性汎細気管支炎、嚢胞性線維症などを含む)、過敏性肺炎、肺気腫(α1アンチトリプシン欠損症を含む)、リンパ脈管筋腫症、閉塞性細気管支炎、サルコイドーシス、塵肺、ランゲルハンス組織球症、肺移植後手術合併症、肺移植後移植片機能不全(CLAD)、COVID-19後遺症などによる不可逆な肺障害、その他のびまん性肺疾患。生体肺移植はレシピエント65歳以下、ドナー20歳以上60歳以下の3親等以内の血族。 - 腎移植
慢性腎不全全般。ただし、糖尿病性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎や巣状糸球体硬化症が原因の場合は、慎重な対応が必要です。
先進・特殊医療
- 脳死肝移植実施指定施設
- 脳死心移植実施指定施設
- 脳死肺移植実施指定施設
- 脳死心肺同時移植実施指定施設
- 植え込み型補助人工心臓
- 小児用補助人工心臓
- 生体肝移植実施施設
- 生体肺移植実施施設
- 生体腎移植実施施設
主な検査と説明
- 肝移植
自己血貯血(ドナー)/CT/腹部エコー/上部消化管内視鏡/ICG検査(ドナー)/HLA、リンパ球クロスマッチ検査/肝生検 - 心移植
心臓超音波/心肺機能検査/胸部X線/心電図/心臓カテーテル検査/心筋生検/心肺機能検査/心筋シンチグラム - 肺移植
CT/呼吸機能検査/6分間歩行試験/肺血流シンチグラフィー/心エコー/心臓カテーテル検査/上下部消化管内視鏡/HLA、リンパ球クロスマッチ検査など - 腎移植
CT/膀胱造影/骨シンチグラフィー/排泄性腎盂造影(ドナー)/分腎機能評価(ドナー)
センター長
