マルファン症候群センター

マルファン症候群が疑われる患者さんの診断と治療、遺伝相談などに専門チームとして取り組んでいます。遺伝的要因が関与する本疾患の特性を鑑みて、患者さんに安心してご来院していただけるよう、患者さんの個人情報の保護には厳重な注意を払って参ります。

マルファン症候群とは

マルファン症候群では、細胞と細胞を繋ぐ結合組織が脆弱であるため、その働きの変化が原因となり、心臓や大動脈、骨格、目、脊柱硬膜、肺、皮膚などでその機能破綻に伴う症状が出現します。

75%は親から遺伝し(常染色体優性遺伝)、25%は孤発例(新規変異)であり、日本には約20,000人(出生5千~1万人あたりに1人)の患者がいると考えられます。原因遺伝子としてフィブリリン(FBN1)やトランスフォーミング増殖因子β受容体-1,2型(TGFBR1,2)などが同定されていますが、未知の遺伝子や環境要因が複雑に相互作用して発症すると考えられ、診断に苦慮する場合も少なくありません。

「治る」病気ではありませんが、適切な治療や管理で良好な予後が期待できます。

マルファン症候群センター(マルファン外来)開設の目的

多くの患者さんは、高身長や長い手足、高度の近視、背骨や胸郭の異常(側弯や漏斗胸など)、柔らかい皮膚や関節、扁平足などに伴う慢性的な悩みや症状を持っています。しかしながら、突然の胸背部痛(大動脈解離)や呼吸困難(自然気胸)、目の痛み(水晶体偏位や網膜剥離)、膝や肩の脱臼のような救急処置を要する事態に陥る可能性もあります。また、本人が気づかないうちに、大動脈の拡大が進行し、破裂(解離)の危険性に晒されている場合も少なくありません。

マルファン症候群に関する正しい情報を知り、適切なライフスタイルと治療を享受することが大切です。しかしながら、遺伝的素因が絡む稀な疾患であり、症状や検査項目も多系統に渡るため、類縁疾患(ロイス・ディーツ症候群、血管型エーラスダンロス症候群、先天性拘縮性クモ指症などの結合織病、家族性大動脈瘤・解離など)を含めた鑑別・診断・治療には、複数の専門診療科が連携して診療にあたる必要があります。

当院では、2005年4月に「マルファン外来」を開設し、院内の関連する診療科(循環器内科、心臓外科、小児科、整形外科、眼科など)が緊密に連携し、院外の医療機関との積極的な連携を図りながら、マルファン症候群や類縁疾患の早期診断と治療を行ってきました。2021年6月から「マルファン症候群センター」と組織名を変更しましたが、診療・教育・研究にさらに尽力してまいります。「自分はマルファン症候群ではないか」「兄弟姉妹や子供はどうか」という不安に対し、ゲノム診療部とも連携してご相談に応じます。

遺伝子解析(保険診療)は、施行してもマルファン症候群を否定し得るものではありませんが、今後の診療に役立てる研究の一環として、遺伝子情報の集積にも努めております。 ただし、診断が目的であれば必ずしも全例で必要な検査ではありませんので、その必要性と社会的・倫理的な諸問題を十分にご説明させていただいた上で個別に判断させていただきます。

マルファン外来(専門外来)受診に当たって

  • マルファン外来は木曜日です。
  • 原則として予約制です。東大病院の予約センターへ電話(03-5800-8630)でお問い合わせ頂くか、外来1階初診受付窓口で、受診希望の旨をお申し付けください。
  • 出来る限り医療機関からの紹介状(診療情報提供書)をご持参ください。
  • 初診は、中学生までは小児科医、高校生以上は循環器内科医が担当します。
  • 1日で最大3科まで受診可能です(一部の検査は1科分と見なす場合があります)。
  • 原則的に保険診療の対象ですが、ゲノム診療部での遺伝相談は自由診療扱いです。
  • 遺伝子解析(保険診療)は、診断が目的であれば必ずしも全例で必要な検査ではありませんので、その必要性と社会的・倫理的な諸問題を十分にご説明させていただいた上で個別に判断させていただきます。

組織紹介

参画している診療科・部門

循環器内科、心臓外科、整形外科、眼科、小児科、女性診療科・産科、ゲノム診療部

主な担当医

【循環器内科】武田憲文、八木宏樹、加藤昌義
【小児科】犬塚 亮
【心臓外科】安藤政彦、山内治雄
【整形外科】谷口優樹
【眼科】当日担当医
【女性診療科・産科】永松 健(遺伝外来)
【ゲノム診療部】張香理(認定遺伝カウンセラー)、秋山奈々(認定遺伝カウンセラー)、石浦浩之(臨床遺伝専門医)

センター長

武田 憲文(たけだ のりふみ)

武田 憲文(たけだ のりふみ)

プロフィール

リンク

受診予約のご案内

【予約センター】10時00分~17時00分(平日)

TEL:03-5800-8630