病理部
病理部は、病気の診断、治療評価のため、内視鏡などで採られた生検組織・細胞を、顕微鏡で調べ病理診断を下します。手術中の迅速診断は、困難な手術において適確な判断の指針となり、切除された組織標本の病理診断によって、病変の詳細や治療の適切さを評価します。経験豊富な病理医、病理技術者による、正確で質の高い病理診断で、安全、安心の医療を支えています。また、病理部は病理解剖も担当しています。
概要
病理部の業務について
年間約17,000件の組織診断、15,000件の細胞診断、1,200件の手術中迅速診断(組織800,細胞診400)、40件の病理解剖診断などを担当しています。
診療方針
病理部内や各臨床科との合同症例検討会を行い、質の高い診断を目指すとともに院内連携の促進をはかっています。また、同日診断 (same day diagnosis) を目標とした病理診断の迅速化を進めています。
病理組織診断とは?
顕微鏡下に組織標本を見て病気の診断をすることを病理組織診断といいます。病理組織診断は最終診断とも呼ばれており、非常に重要な意味を持った診断方法です。例えば、「病変が炎症かあるいは腫瘍か?」,「腫瘍であれば良性か悪性か?」などの診断は、その後の治療法などに大きな影響を与えます。この診断をする医師のことを病理(診断)医と呼びます。
細胞診とは?
主に癌細胞の発見によって、癌を早期に診断する目的に用いられます.検査材料は穿刺液(胸水、腹水、 脳脊髄液、嚢腫内容、関節貯留液)、分泌液(膣内容、気管内容、乳汁、胃液、外子宮口)、喀痰、尿、穿刺吸引 した病変部、甲状腺や乳線の擦過材料です。これをスライドガラスに直接塗布したり、遠沈した沈渣を塗抹し て染色し、顕微鏡で細胞を検査します。
この方法は標本作製、材料の採取が簡単であり、癌の早期発見に有用ですが、悪性細胞の確実判定には、 病理組織診断が必要なことも少なくありませんが、細胞診から決定的所見が得られることもあります。
病理解剖とは?
病理解剖を行うことも病理医の仕事です。患者さんが亡くなった場合、その疾患の原因や経過の全てが正確に把握されているとは限りません。例えば、極めて急性の経過をとったため症状の観察や検査が不十分な例、症状は目立っているが特定の疾患として診断できない例、また、異常な症状と経過を示した例などは少なくありません。病理解剖を行うことによって、死亡の原因となった疾患の探求や治療効果の判定などが可能になり、今後の医療に生かすことができます。病理解剖の結果は、臨床病理検討会(Clinicopathological conference:CPC)などの機会に,臨床担当医を含めた多くの関係者とともに討議されます。
組織紹介
13名の医師(内、12名は認定病理専門医)、17名の専任技師(内、4名は病理認定技師、14名は細胞検査士)によって業務を行なっています。
病理診断外来
当院にて手術などを受けた乳がんの患者さん、患者さんのご家族を対象に「がんの病理組織像(顕微鏡での細胞像)=がん細胞の顔つき」を病理専門医が画像を用いて直接説明し、病理診断の疑問に答える「病理診断外来」を開設しています。「病理診断外来」は、毎週月曜日午後で、予約が必要です。外来の担当医師を通してご予約ください。
遠隔病理診断・地域連携
日本国内では慢性的な病理医不足のため、自施設内で病理診断を行えない病院が全国に多数存在します。このような病理医不在病院に対して、病理医が集約している東大病院が、精度の高い病理診断を「遠隔病理診断」の形で提供し、支援を行っています。
部長
牛久 哲男(うしく てつお)
その他
沿革
昭和30年 | 中央検査部病理組織検査室として発足 |
昭和50年 | 病理部発足 |
平成02年 | 細胞診室新設 |
平成08年 | 中央電顕室統合 |
平成13年 | 分院病理検査室統合 |
平成16年 | 人体病理学・病理診断学分野統合 |
平成25年 | 病理診断科標榜 |
地域連携推進・遠隔病理診断センターの設置 | |
病理診断外来開設 |
診療実績(2023年)
名称 | 件数 |
---|---|
病理組織診断 | 17,918件 |
細胞診 | 15,902件 |
術中迅速診断(組織、細胞診) | 1,235件(組織885、細胞350) |
電子顕微鏡検査 | 90件 |
病理解剖 | 30件 |