こころの検査入院
お知らせ
2022年度より、『こころの検査入院プログラム』の入院期間が7日間に変更となりました。
申し込み方法
『こころの検査入院』は、随時お申し込みを受け付けております。
以下の手順でお申し込みください。
※申し込みはご本人からお願いいたします。ご本人以外からの申し込みは受け付けておりません。
※申し訳ございませんが、電話対応は一切できません。ご了承ください。
(1)このホームページをQ&Aまで含めてよくお読みください。
(2)通院中の主治医の先生と検査入院の必要性についてご相談してください。
(3)主治医の先生に「検査入院が必要」とご判断いただいた場合、主治医の先生に紹介状の作成をお願いしてください。
(4)紹介状をいただける予定の方のみハガキ又は封書に、下記必要事項を明記の上、下記宛先にご郵送ください。
※紹介状は同封しないでください。
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【必要事項】
氏名(ふりがな)・年齢・郵便番号・住所・電話番号(複数)・メールアドレス(パソコンのアドレスをお持ちの方)
※紹介状について ① か ② を記入してください。
① 既に紹介状を持っている
② 紹介状を受け取ることができる予定日
【郵送先】
〒113-8655
東京都文京区本郷7-3-1
東大病院 精神神経科 こころの検査入院 担当
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(5)担当者より初診の時期等についてご連絡させていただきます。初診日はなるべくご希望を伺いますが、早めることはできません。なお、申込用紙受付から初診まで、初診から入院まで、それぞれ1-3ヶ月程度かかる場合があります。
当科では、『こころの検査入院プログラム』を行っております。
当プログラムでは、うつ症状のある方の診断の正確性を高め、治療の適正化を目指します。
光トポグラフィー(NIRS)検査を始め集中的な検査(下記参照)・心理教育によって、最適と考えられる治療方針に関して提案を行い、ご紹介医にもレポートをお送りいたします。入院期間は7日程度(開放病棟)です。
検査内容
- 光トポグラフィー(NIRS)検査:うつ症状の原因疾患診断補助
(注)この検査は診断の確定や治療をするものではありません。
なお、光トポグラフィー検査は、2014年4月1日より、保険適応となりました。 - CT・脳波検査:器質性精神疾患の除外診断
- 血液検査・心電図・単純X線検査:併存・合併症の除外、評価
- 精神科診断面接(SCID):詳細な症状の評価
- 心理検査(WAIS-Ⅳ、MPI、SCTなど)
※プログラム参加には現在おかかりの主治医によるご紹介状が必要です。
※当院外来医の判断で最終的な参加可否を決定させていただきます。
※現在の病状、状態によってはプログラム参加を見合わせる可能性があります。
概要
東京大学医学部附属病院 精神神経科では、うつ症状のある方の診断の正確性を高め、治療の適正化を目指した『こころの検査入院プログラム』を行っております。
当院精神神経科開放病棟への7日程度の入院により、短期間の休養と併せ、集中的な検査、心理教育を通じ、患者さんの診断治療の新たな方向付けをし、ご紹介医へフィードバックいたします。
臨床評価に有用であるものの、普段の外来診療では行うことが難しい各検査を集中的に行い、ご紹介医のより的確な診療の一助にしていただければ幸いです。
検査内容
本検査入院にて行う検査は以下の通りです。
- 心電図、単純X線検査:併存・合併症の除外、評価
- 光トポグラフィー(NIRS)検査:うつ症状の原因疾患診断補助
- コンピュータ画像診断(CT)、脳波検査:器質性精神疾患の除外診断
- 血液検査:合併症の除外、評価
- 精神科診断面接(SCID)による、詳細な症状の評価
- 心理検査:知能検査(WAIS-Ⅳ)、人格検査(MPI・SCT)、各種臨床評価シートによる状態評価
- 評価シートによる発達障害の簡単な評価
- 核磁気共鳴診断(MRI)・単一光子放射断層撮影(SPECT):認知症などの除外診断(検査の必要がある場合)
留意点
- この入院は、「検査入院」プログラムです。「治療」は行いません。
(当院での入院治療を希望する場合は、再度通常の紹介入院の手続きをお取り頂きます。)
検査結果は基本的にご紹介いただいた医師へお伝えし、退院後も現在おかかりの外来にて治療を継続して頂きます。 - プログラム参加には現在おかかりの主治医によるご紹介状が必要です。
当院外来医の判断で最終的な参加可否を決定させていただきます。
現在の病状、状態によってはプログラム参加を見合わせていただく可能性があります。
適応の患者さん
うつ症状がみられ、当院開放病棟での本検査入院プログラムの趣旨に同意ができる方。
(ご注意)自身の安全を守れない方、暴力・暴行のある方、薬物・アルコール依存症の明らかな方など、開放病棟への入院が適切でない状態の方は除きます。初回外来時に当院担当医が入院適応について判断させていただきます。
入院の流れ
【外来受診】
初診予約日に、まず紹介状をお持ち頂き、外来を受診していただきます。担当医が適応を判断した上でプログラムの趣旨をご本人にご説明します。患者さんの同意を得た後、入院予約をさせていただきます。
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【ご入院】
- 詳細な病歴聴取
- 諸検査
検査結果から追加検査の必要性が考えられた場合は、原則的には退院後に主治医に方針を検討していただきます。 - 心理教育
(1)うつ病についての説明:生物学的な背景・治療の意義・薬物治療の意義・経過
(2)生活習慣の改善:行動記録表の制作・生活習慣改善の意義
(3)認知療法の簡単な説明
※原則、入院プログラム期間中は外来時の処方を継続し、薬物調整は行いません。
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【ご退院】
退院時に検査内容をまとめ、所見から考えられる現在の問題点、診断の見直し、今後の治療の可能性などを、当院の入院担当医の立場から、ご本人、ご家族へご説明させていただきます。
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【フィードバック】
後日、当院の入院担当医から結果(情報提供書・サマリーなど)の報告と、検査結果から考えられる現在の状態評価、今後の治療、追加検査の必要性などについて紹介医に返信させていただきます。
※入院プログラム終了後、東大病院での入院治療(薬物調整、休養、ECT、追加検査等)をご希望される場合は再度ご予約をお取りいただく必要があります。
入院中のスケジュール
(※多少予定が前後する可能性があります)
<1日目(金曜日)>
ご入院(AM)、問診、胸部レントゲン、心電図、他
<2-3日目(土・日曜日)>
質問紙、他
<4日目(月曜日)>
血液検査、心理検査、頭部CT、他
<5日目(火曜日)>
光トポグラフィー検査、脳波検査、他
<6日目(水曜日)>
診断面接、心理検査、心理教育、他
<7日目(木曜日)>
総評面接、ご退院
入院費用
90,000円前後(3割負担の保険診療の場合を想定しています)
※医療費(自己負担)・食費・光トポグラフィー検査費用込み。
ただし、実施する検査内容(対象者の状態により異なります)によって、費用が高くなることがあります。
※個室の場合 別途差額室料がかかります(5,500円~11,000円/日)
ご参考
光トポグラフィー検査とは
光トポグラフィー(NIRS)検査による脳機能評価を精神疾患へ応用することで、うつ症状の背景疾患が示唆されることがわかりました。この客観的指標による評価で、うつ病(大うつ病性障害)・躁うつ病(双極性障害)・統合失調症のいずれの可能性が高いかが示唆されます。ただし、結果は確定診断ではなく、あくまで臨床症状にもとづく鑑別診断の補助として用います。 ((注)この検査は診断の確定や治療をするものではありません。)
なお、光トポグラフィ―検査は、2014年4月1日より、保険適応となりました。
【参考文献】
[1] 福田正人 編(2009)『精神疾患とNIRS-光トポグラフィー検査による脳機能イメージング』,中山書店,東京.
[2] 笠井清登 編(2009)『医学のあゆみ-特集・精神医学update』,医歯薬出版,東京.
こころの検査入院Q&A
ご紹介にあたって
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現在の主治医の先生に どのように話せばよいでしょうか?
この御案内を見せてください。
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今の主治医の診断に納得いかないので、検査入院をしたいのですがどうしたら良いですか?
今の主治医に相談したところ、診断がはっきりしているので検査の必要はないと言われましたが、どうしたら良いですか?現在の主治医とよく相談してください。本検査入院には、必ず主治医の紹介状が必要になります。 この入院で得られる検査結果は、あくまでも現在の主治医のこれまでの臨床的判断を補助する形で利用される検査データにすぎません。この検査入院を独立で行っても、患者さんのメリットは少ないと考えられます。
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紹介状があれば必ず検査入院を受けられるのですか?
必ずしも、ご希望される全ての方に検査入院を受けていただけるとは限りません。現在の病状、状態によってはプログラム参加を見合わせる可能性があります。最終的には外来の診察を受けてから判断することになります。
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遠方ですが、初診なし又は初診の翌日に検査入院できますか?
プログラム参加の確認をするために初診をうけていただくことが必須です。初診をうけていただいて初めて入院予約となります。
翌日の入院は難しく、あらためてこちらから、ご入院日についてご連絡させていただきます。 -
現在 精神科・心療内科に通院していないのですが大丈夫でしょうか?
紹介状なしでは予約できません。お近くの精神科専門医のクリニックを受診し、主治医の先生とプログラム参加の必要性についてご相談してください。
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受けている診断が統合失調症ですが、検査入院できますか?
現在うつ症状のある方が対象です。プログラム参加の必要性について主治医の先生とよく話し合ってください。
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子供や高齢者でも受けられますか?
基本的には成人の方を対象にしております。未成年や高齢者の方は初診でのご相談になります。
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外国籍ですが、検査入院できますか?
一部の検査の特性上、母国語を日本語としている方に限らせていただいております。
検査内容について
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この検査入院で何がわかるのでしょうか?
今後の治療方針などの参考となる臨床情報がわかります。
光トポグラフィー(NIRS)検査、心理検査、脳画像検査、詳細な病歴の再確認、症状評価など、普段の外来診療では十分に行うことのできない各種検査などを集中的に行い、それらの結果を整理します。これらの臨床情報を元に、現在の主治医が今後の治療方針を決定していくこととなります。 -
光トポグラフィー(NIRS)検査で何ができるのですか?
うつ症状の原因となる病気の診断の正確性を高めることができます。
光トポグラフィー検査は、あくまでも脳の働きを反映する血液量変化を知る検査であり、治療効果はありません。
うつ病(大うつ病性障害)、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症に罹患されている方の光トポグラフィー検査のデータと臨床症状に基づく鑑別診断の結果の一致率は、それぞれ約7~8割です。ただし、この検査のみで診断・治療方針は決定せず、検査結果は他の多くの情報と併せ、総合的に判断する際の臨床情報の一つとして活用されます。また、計測不良などで判定困難・判定不能となることもあります。 -
検査結果は教えてもらえるのですか?
検査結果は、退院前に当院の担当医から一通り口頭でご説明させていただきます。検査結果の書面でのレポートはご紹介いただいた主治医宛へ郵送させていただき、患者さんへは直接お渡しはいたしません。検査結果を解釈するためには医師の判断が必要であり、混乱を防止するためですので、ご了承願います。
入院病棟のルール
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入院中に家に帰ることはできますか?
一時帰宅されることは、ご遠慮頂いております。7時~20時までの間で検査予定が入っていない時間帯は、病棟からの外出も可能ですが、入院プログラムのため、一時帰宅及び外泊はご遠慮いただいております。
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入院中にタバコは吸えますか?
病院内・病棟内など敷地内全面禁煙となっています。
タバコ・ライターのお持込みはご遠慮いただいております。
万が一お持ちになった場合は、お預かりさせていただきますのでご了承下さい。
ルールを守っていただけないと、入院が継続できない場合があります。 -
携帯電話は利用できますか?
携帯電話は、病棟内では携帯電話使用可能エリア(個室、電話ボックスなど)でご利用いただけます。
また、病棟内には公衆電話が設置されています。テレホンカードまたは小銭をお持ちになりご利用下さい。 -
ノートパソコンは持ち込めますか?
パソコン・ラジオ・音楽プレイヤー・DVDプレイヤー・ポータブルTV等は、病状により制限させて頂くことがあるため、職員にお申し出ください。ご使用の際には、療養の妨げや他の患者様の迷惑にならないようにご配慮下さい。
また、盗難や故障などについては当院では一切責任を負いかねますので、ご自身での管理をお願いいたします。
その他
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この検査入院で病気は治りますか?
この短期の検査入院では症状の改善を目的としておりません。本検査入院は、検査を集中的に行い、今後の治療方針を決定する情報を得るための入院です。退院後、この検査入院のデータを参考に現在の主治医の元での外来治療により、長期的に症状が改善していくことを目的としています。
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労災のために自分のうつ病を証明してもらえますか?
本検査入院では、診断を証明することはできません。精神疾患の診断は、問診による臨床診断によって行われます。残念ながら、この検査入院の結果で、診断が確定したり、証明できるものではありません。
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入院中に薬の調整など、治療はするのですか?
入院中の治療は基本的に行いません。内服薬は頓服薬も含めて全て外来で処方されたものを持参して、服用していただきます。不眠時などの追加の頓服薬については当院で処方いたします。
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入院中に他の身体の病気が見つかったらどうするのですか?
緊急性がある場合を除き、一旦退院していただいたあと、検査結果など踏まえた上で主治医が方針を検討することとなります。
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退院後に東大病院に引き続き受診したいのですが、それは可能でしょうか?
退院後は当院ではなく、現在の主治医の元で、検査結果を踏まえて治療を継続していただきます。当院で治療を行う特別な理由(追加の検査、入院治療など)が考えられた場合は、一旦退院した後に、再び通常の予約をしていただき、受診することとなります。
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NIRSと光トポグラフィーとは何が違うのですか?
NIRSは近赤外線スペクトロスコピィという技術の名前の略称です。近赤外光を用いて、組織内の血液量変化を推定する方法のことを指します。光トポグラフィーは、それを脳機能などへ応用し、わかりやすく画像化もできるようにした装置のことを指します。精神科領域においては、おおむね同じ検査装置・方法を指していることが多いとお考えください。
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他の機関でも光トポグラフィー検査をしているところがありますが、何が違うのですか?
当院における本入院プログラムは、光トポグラフィー検査のみではなく、各種検査・心理l教育を組み合わせた『検査入院プログラム』であることが特徴的な点です。
なお、光トポグラフィ―検査は、2014年4月1日より、「抑うつ症状の鑑別診断の補助に使用するもの」として、定められた施設基準を満たす医療機関にて、保険診療として実施されることとなりました。 -
Nature誌に光トポグラフィー検査の精神疾患への応用について記事が掲載されたようですが、どのような内容ですか?
「こころの健康に光トポグラフィー検査を応用する会」から補足解説が出ていますのでご覧ください。
※平成26年4月1日より、保険適応となりました。