妊孕性温存外来
妊孕性温存外来とは
医学の進歩により、悪性腫瘍を克服する人が増えている一方で、治療により、卵巣機能が低下し、子供が授かれなくなることがあります。そこで、卵巣機能が低下する可能性がある方に対し、将来妊娠する可能性を残す技術があることを紹介、治療する外来です。
治療の方法としては、以下のものがあり、当院では1)卵子凍結、2)胚(=受精卵)凍結を行っています。
1)卵子凍結血
長所としては未婚でも可能であるが、短所として、排卵誘発(卵巣刺激)が必要となります。また妊娠率が低い(凍結卵子1個当たり10%以下)ことも挙げられます。
2)胚凍結
長所としては確立された方法であり、他の治療に比べ妊娠率が高い(凍結胚1個当たり15-30%)ことです。短所としては、排卵誘発(卵巣刺激)が必要となります。治療の具体的な方法はIVF外来のホームページをご参照ください。
3)卵巣組織凍結
長所としては未婚でも可能で、いつでも採取できることが挙げられます。短所としては、凍結保存した卵巣にがん細胞が紛れている恐れがあること、凍結保存には手術が必要となること、施行できる施設が限られていることや、凍結した卵巣を移植する際にも手術が必要でその後、体外受精が必要となることなどが挙げられます。
受診にあたり必要なもの
かかりつけの病院からの紹介状が必要になります。下記の紹介状のフォーマットをプリントし、かかりつけのご担当医にご記入いただいて妊孕性温存外来の初診時にご持参いただくことをお勧めいたします。
治療に関して
卵子凍結・胚凍結を希望された場合、女性診療科で治療の説明を受け、卵巣刺激を行います。(詳細はIVF外来のホームページをご参照ください)
女性ホルモン(エストロゲン)で悪性腫瘍を悪化させてしまうタイプの人の場合は、卵巣刺激を行うと女性ホルモンが上昇し悪性腫瘍を悪化させてしまうことがありえます。そのため、そのような場合は乳がん治療にも用いるアロマターゼ阻害薬(女性ホルモンの上昇を抑える薬)を使用しながら卵巣刺激を行います。そして、卵子が成熟したところで、採卵(卵子を採取する)します。卵子凍結の場合は採卵後に卵子を凍結保存、胚凍結の場合は、採卵後に授精させて凍結保存します。
その後は、悪性腫瘍の治療に専念し、ご担当の先生より妊娠許可が出たら、凍結した卵子・胚を用い妊娠を目指します。
外来担当医師
原田 美由紀
森嶋 かほる
浦田 陽子
金谷 真由子
原口 広史
真壁 友子
松尾 光徳
矢野 倫子
外来日
- 初診:金曜午前(完全予約制です)
- 再診:月曜日・水曜日・金曜日の13:00から(IVF外来)
(注)初診以降の治療はIVF外来で行います。
当外来で行っている臨床研究
【研究1】生殖の生理と病理に関する包括的後方視的研究
- 対象:1999年以降に東京大学病院女性診療科・産科・女性外科を受診された全ての患者さん
- 方法:後ろ向きカルテ調査で、その後の予後(不妊治療内容、妊娠の有無、妊娠の転機など)を解析します。