IVF(体外受精)外来

IVF(体外受精)外来とは

東京大学医学部附属病院 女性診療科 IVF外来は体外受精を必要とされるすべての方を対象としておりますが、中でも高次医療機関として高度な診療を必要とされる下記のような方を特に対象としております。

  • 子宮内膜症性卵巣嚢胞、子宮筋腫、子宮腺筋症などの婦人科疾患を合併しており、手術などを含む集学的不妊治療を必要とされている患者さん
  • 悪性腫瘍と診断され、妊孕性温存を必要とされている患者さん(当外来で行っている臨床研究もご覧ください)

IVF外来では、まず初診時にIVFについて十分に説明させていただいたのちに、治療を開始しております。必要に応じて、不妊外来の項で挙げている当科の専門外来、さらに腫瘍外来と連携して診療いたします。病状によりますが、初診されてから治療開始まで数カ月以上お待ちいただく場合があります。現在、採卵は45歳11カ月まで行っております。

※なお、悪性腫瘍患者さんに関しては、悪性腫瘍の治療スケジュール上、妊孕性温存治療の時間的猶予がない場合が多いため、個別に対応をさせていただきます。下記、<外来日>(注)をご参照のうえ、受診手続きをお願いいたします。なお、悪性腫瘍治療を最優先とすることが前提であるため、悪性腫瘍の主治医と相談のうえ、妊孕性温存治療の適応の有無、スケジュールを相談させていただきます。2016年4月現在、妊孕性温存方法として、胚凍結、卵子凍結を行っております。

受診にあたり必要なもの

紹介状や他院での検査結果(ホルモン検査、精液検査など)あればご持参ください。

治療に関して

誘発方法(ロング法、アンタゴニスト法、低刺激法など)

複数の卵が得られるように、卵巣刺激を行って採卵しています。当外来では自然周期の採卵は行っておりません。卵巣刺激法は、患者さんの卵巣機能・予備能力に合わせて選択しており、GnRHアゴニストを用いたロング法、あるいはGnRHアンタゴニストを用いた方法を標準としています。採卵個数が多すぎると、採卵後に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を発症するリスクが高まるので、5~10個の卵が得られるように適正な刺激を心がけています。

採卵

IVFセンターにて日帰り入院で麻酔下に行います。採卵個数・病状に応じて、静脈麻酔あるいは局所麻酔を施行します。

受精方法

体外受精と顕微授精を行っています。
顕微授精の対象になるのは以下のような患者さんです。

  1. 体外受精では受精しないほどの、極度の精子減少症がある場合
  2. 体外受精において受精率が悪い場合、受精障害がある場合

一部の卵に顕微授精を行い、残りの卵は通常の体外受精を行う場合もあります。

移植方法

IVFセンターにて日帰り入院で行います。単一胚移植を基本としており、分割期胚(採卵後2-3日目の胚)、胚盤胞(採卵後5-6日目の胚)移植のいずれを行うかは、おひとりおひとりの治療歴、病態に応じて外来でご相談いたします。

着床能を改善する治療

バイアスピリン、ビタミンE製剤等の内服治療の他、アシステッドハッチング法(AHA:透明帯の一部をレーザーにて薄くし胚のふ化を助ける)、ヒアルロン酸含有培養液の使用、2段階胚移植法(同一周期に分割期胚と胚盤胞を段階的に移植する)、SEET法(胚盤胞に至った周期の培養液をあらかじめ凍結保存しておき、次周期以降の胚盤胞移植周期に、移植に先立ちその培養液を子宮内に注入する)などを行っています。
また、着床外来と連携し、診療にあたっており、子宮鏡、MRI検査などを施行し、着床を妨げる原因となりうる子宮内膜ポリープ、子宮筋腫等が指摘される場合には、内視鏡手術と組み合わせた治療方針を提示します。(着床外来の詳細については、着床外来のホームページをご参照ください)

精巣内精子回収術(TESE)

無精子症の患者さんは当院泌尿器科と連携し、(顕微鏡下)精巣内精子回収術(MD-)TESEにて精子の回収を試みることが可能です。

症例数

採卵周期数: 年間約200周期
       (体外受精 約60周期、顕微授精 約140周期)

胚移植: 年間約260例
     (新鮮胚移植 約80例、凍結胚融解胚移植 約180例)

外来担当医

原田 美由紀
森嶋 かほる
浦田 陽子
金谷 真由子
原口 広史
真壁 友子
松尾 光徳
矢野 倫子

外来日

  • 初診: 水曜日の午後(完全予約制です)
  • 再診: 月曜日・水曜日・金曜日の13:00から

(注)悪性腫瘍と診断され、妊孕性温存を必要とされている患者さん
妊孕性温存外来を開設しましたので、そちらをご参照ください。

当外来で行っている臨床研究

【研究1】生殖の生理と病理に関する包括的後方視的研究

  • 対象:1999年以降に東京大学病院女性診療科・産科・女性外科を受診された全ての患者さん
  • 方法:後ろ向きカルテ調査で、その後の予後(不妊治療内容、妊娠の有無、妊娠の転機など)を解析します。

受診予約のご案内

【予約センター】10時00分~17時00分(平日)

TEL:03-5800-8630