東京大学医学部脳神経外科

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研究紹介

多機関共同研究によるマルチオミックス解析に基づく脳腫瘍の発生・進展の分子機構の解明

1.研究の対象

国立がん研究センターおよび本文最後に記載される共同研究機関において脳腫瘍と診断された患者さん、もしくは脳腫瘍と診断され小児固形腫瘍観察研究(日本小児がん研究グループ固形腫瘍分科会)に参加された患者さんで以下のいずれかに該当する方が対象となります。

  • a) 現在進行中の研究及び将来計画される複数の研究について、一定の条件の下に、まとめて広い範囲の研究(薬や医療技術の開発を含みます)への協力の同意(「包括的同意」と言います)をいただいた患者さん。国立がん研究センターにおいては2002年1月から2011年5月12日までの間に「検査試料、生検組織、摘出標本などのがん研究への利用に関するお願い」により同意の得られた脳腫瘍の患者さんと、2011年5月13日より2027年3月31日までの間に「診療目的で採取された血液・組織などの研究用保管と、研究用採血による医学研究へのご協力のお願い」により同意の得られた脳腫瘍の患者さんが対象です。その他の共同研究機関においても同様の包括的同意を1997年1月から2027年3月31日までに得ている患者さんが対象となります。
  • b) 国立がん研究センターもしくは共同研究機関のいずれかで2027年3月31日までに診療を受けたが、包括的同意の得られていない患者さんで、本研究の参加に同意していただいた方。
  • c) 国立がん研究センターで承認を受けた研究である2013-042 「悪性脳腫瘍の新たなバイオマーカー及び分子標的の探索とそれらの臨床応用に向けた多施設共同研究による遺伝子解析(研究代表者 成田善孝)」に参加いただいた患者さんの既存試料。
  • d) 小児固形腫瘍観察研究(日本小児がん研究グループ固形腫瘍分科会、研究代表者 瀧本哲也)に参加いただいき、余剰検体を用いた遺伝情報を関わるゲノムの網羅的な解析を含めた研究に対する二次利用に対して文書を用いて同意をしていただいた患者さん。
  • e) 患者さんが亡くなられた後に病理解剖を行った方で、病理解剖の際に採取した組織などの研究利用に同意をいただいた患者さんが対象です。国立がんセンターでは、「病理解剖に関する遺族の承諾書」により、同意の得られた脳腫瘍の患者さんが対象となります。その他の共同研究機関においても、解剖の時に採取された組織などの研究利用について、同様の同意を得ている患者さんが対象となります。

2.研究目的・方法

脳腫瘍は治療が難しい病気の一つです。より良い治療法を開発するにはどのように脳腫瘍が発生するのか、どのようにして治療が効かなくなってくるのかを明らかにすることが必要です。脳の中の正常な細胞の遺伝子に傷(遺伝子異常)がつくことで脳腫瘍ができてくると考えられています。また、脳腫瘍は行っている治療からうまく逃れるために、新しい遺伝子異常を獲得していくと考えられています。そのため、脳腫瘍に起きている遺伝子異常を調べることにより、どのような異常が悪さをしているのかを明らかにすることで新しい治療へとつながると考えられます。

この研究では手術により切除された腫瘍組織や血液・髄液・尿などからDNA・RNA・タンパク質を取り出し、それらを調べます。この際にシークエンサーと呼ばれる機械を使い、脳腫瘍の細胞内でそれぞれがどのように作られているのか、どこかに異常はないか、どのくらい作られているのかというのを調べていきます。このようにして脳腫瘍がどのように起きているのか、どのように治療が効かなくなるのか、ということを明らかにして新たな治療法の開発につなげることを目指します。

研究期間は研究許可日から2027年3月31日までとします。

3.研究に用いる試料・情報の種類

研究で使用する試料は手術で摘出した組織や血液等です。これらの試料は通常の診断・治療に使用した残りを使用します。血液に関しては通常の診療のための採血の際に、研究使用のために2〜20ml程度多めの採血をお願いすることがあります。その場合は、担当医があなたの健康状態を判断し、問題ないと判断される場合にのみお願いすることになります。

個人に関わる情報としてカルテ番号・治療経過・治療内容・画像検査・年齢・既往歴・家族歴などが使用されます。住所・氏名・生年月日など個人が特定できる情報は削除されます。したがって、患者さんの個人情報が漏れたり個人を特定されたりすることはありません。

4.外部への試料・情報の提供

データの解析結果は、共同研究機関の特定の関係者のみが利用出来る状態で共有します。この研究で得られたデータは今後の医学の発展のため、個人情報が特定できないようにした後に、学会や学術誌で発表します。また、審査を必要とする公的データベースである、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)バイオサイエンスデータベースセンター(NBDC)が運営する「ヒトデータベース」、AGD (AMED Genome group sharing Database)、MGeND (Medical Genomics Japan Database)、CANNDs (Controlled shAring of geNome and cliNical Datasets) 、日本DNAデータバンク(https://www.ddbj.nig.ac.jp/index.html)、European Genome-Phenone Archive (https://ega-archive.org/))、国立がん研究センターが管理する臨床情報収集システム(eletronic data capture: EDC)などに登録し、審査を経て許可された研究者とデータを共有することがあります。データセンターへのデータの提供は、特定の関係者以外がアクセスできない状態で行います。対応表は、当センターの研究責任者が保管・管理します。

5.研究組織

国立がん研究センター研究所 脳腫瘍連携研究分野  鈴木啓道
国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科 成田善孝
国立がん研究センター研究所 分子腫瘍学分野 片岡圭亮
旭川医科大学 脳神経外科 木下学
山形大学医学部 脳神経外科 園田順彦
東京大学医学部 脳神経外科 講師 田中將太
杏林大学医学部 脳神経外科 教授 永根基雄
名古屋大学医学部 脳神経外科 教授 齋藤竜太
京都大学医学部 脳神経外科 荒川芳輝
岡山大学医学部 脳神経外科 石田穣治
九州大学医学部 脳神経外科 吉本幸司
鹿児島大学医学部 脳神経外科 吉本幸司(兼任)
北海道大学医学部 脳神経外科 山口秀
東北大学医学部 脳神経外科 金森政之
獨協医科大学医学部 脳神経外科 宇塚岳夫
筑波大学医学医療系 脳神経外科 石川栄一
埼玉医科大学国際医療センター 脳脊髄腫瘍科 西川亮
東京女子医科大学先端生命医科学研究所 村垣善浩
慶應義塾大学医学部 脳神経外科 佐々木光
東京医科歯科大学 脳神経機能外科 前原健寿
順天堂大学医学部 脳神経外科 近藤聡英
横浜市立大学医学部 脳神経外科 立石健祐
北里大学医学部 脳神経外科 隈部俊宏
藤田医科大学医学部 脳神経外科 廣瀬雄一
浜松医科大学 脳神経外科 黒住和彦
金沢大学 脳神経外科 中田光俊
京都府立医科大学 脳神経外科 橋本直哉
大阪大学医学部 脳神経外科 木嶋教行
神戸大学医学部 脳神経外科 篠山隆司
広島大学医学部 脳神経外科 山崎文之
久留米大学医学部 脳神経外科 中村英夫
佐賀大学医学部 脳神経外科 阿部竜也

6.お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。

ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。

また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
鈴木 啓道 (研究代表者・研究責任者)
国立がん研究センター研究所 脳腫瘍連携研究分野
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
TEL: (03)3542-2511
FAX: (03)3545-3567

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