東京大学医学部脳神経外科

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研究紹介

当院にて脳神経外科領域(脳腫瘍,脳血管障害,てんかん)の疾患でご加療された方へ

この研究は,脳神経外科領域(脳腫瘍,脳血管障害,てんかん)の疾患において原因遺伝子または疾患感受性遺伝子,修飾遺伝子を明らかにして病態を解明することを目的としています(各疾患に関しては下記参照)。 また一部の家族性脳腫瘍(例:von Hippel Lindau病など)においては原因遺伝子が同定されており,発症前診断を含めた遺伝子診断の有用性が,欧米では確立しています (Cancer Supplement 1997;3:632-634参照)。これらの疾患において,発症者および家系内の未発症者に対して,当科でも遺伝子診断を行い,その後のfollow-upを行って,遺伝子診断の有用性を確認するのも本研究のもう一つの目的です。すなわち,血液や手術によって取り出された体の一部を診療記録とともに,この研究に利用させていただきたいのです。血液の採取は大きな危険を伴いません。また,手術は病気を治すために行うものです。病気によって異常を生じた腫瘍組織の一部,あるいは手術操作のために一緒に取り出さざるを得ない正常な体の一部で,診療のための分析には不要な部分を研究に利用させていただきます。

研究課題

脳神経外科領域疾患の遺伝子解析研究(遺伝子診断を含む)(G10026)

研究機関名および本学の研究責任者氏名

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。

研究機関: 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学分野脳神経外科学研究室
研究責任者: 斉藤 延人
東京大学大学院医学系研究科脳神経医学分野脳神経外科 教授
担当業務: 研究統括・検体収集・匿名化・データ解析

共同研究機関

【共同研究機関】

<遺伝子解析,情報解析>

東京大学大学院医学系研究科脳神経医学分野神経内科学研究室
東京大学大学院医学系研究科分子神経学講座
東京大学ゲノム医学センター
東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス分野
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻バイオ情報科学大講座バイオデータベース分野
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻クリニカルシークエンス分野
東京大学医学系研究科代謝生理化学講座
東京大学アイソトープセンターシステム生物医学分野
大阪大学医学系研究科遺伝統計学
理化学研究所
東京大学大学院医学系研究科分子予防医学教室
国立遺伝学研究所

<サンプル収集>

関東脳神経外科病院
寺岡記念病院
埼玉医科大学病院脳神経外科
埼玉医科大学国際医療センター脳神経外科
東京都立多摩総合医療センター脳神経外科
金沢大学脳神経外科
筑波大学脳神経外科
札幌禎心会病院脳神経外科
虎の門病院脳神経外科
公立昭和病院脳神経外科
富士脳障害研究所附属病院
昭和大学病院脳神経外科
富永病院
水戸ブレインハートセンター脳神経外科
関東中央病院脳神経外科
小山記念病院脳神経外科
久我山病院脳神経外科
杏林大学医学部脳神経外科学
杏林大学医学部脳卒中学

将来的にさらに共同研究を行う研究機関や研究責任者が追加される可能性があります。

研究期間

研究期間はヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査委員会承認後から15年間(2026年10月2日まで)を予定しております。研究期間は,必要に応じて延長することがあります。

対象となる方

東京大学医学部附属病院・脳神経外科において,脳腫瘍,脳血管障害,てんかん,その他脳神経外科領域の疾患の患者(発症者)及び,未発症者であるその家族(配偶者,同胞,両親,子供等),健常対照者の中で,研究内容の説明に対してご同意頂いた方を解析の対象としています。
具体的には,von Hipplel-Lindau病,神経線維腫症1型,神経線維腫症2型,結節性硬化症,Li-Fraumeni症候群,Cowden病,Turcot症候群,多発性内分泌腫瘍症1型,家族性海綿状血管腫,もやもや病,脳動脈瘤,家族性てんかん乳児筋線維腫症,脳動静脈奇形,健常対照者を対象とする。

変異解析・シークエンス

株式会社ファスマック,株式会社タカラバイオ,株式会社マクロジェン・ジャパン,株式会社理研ジェネシス,株式会社レリクサに一部を委託する場合があります。

研究の目的

この研究は,様々な脳神経外科疾患の発症の原因やメカニズムの解明のために生まれながらの体質と関係するかどうかを,血液や手術等で得られた組織などから取り出した遺伝子およびタンパク質等を調べることにより正確に診断できるようにしようとするものです。なお,この研究のために使われる血液や手術等で得られた組織などは,医学の発展にともなって将来計画される別の研究にとっても貴重なものになる可能性がありますので,あなたの同意がいただけるならば,将来,脳腫瘍やその治療に関連する別の病気の遺伝子研究のためにもできましたら使わせていただけるようお願いいたします。

研究の方法

血液を通常の方法で5-20 mL採血します。採血に伴う身体の危険性はほとんどありません。
疾患の診断や治療のために,生検や手術を行う予定がありましたら,手術中に麻酔がかかっている状況で採血をさせていただきます。場合によっては生検や手術および剖検にて取り出した検体のうち,診断に使用した残りの一部を凍結して保存させていただきます。この場合は,採取あるいは切り取られた後の検体を利用しますから,研究にともなう身体の危険性は全くありません。
その他の組織採取(口腔粘膜,唾液,尿,毛根毛髪)に関してはスワブにて口腔粘膜を3-4回擦り,唾液は10 mL程度,尿は100 mL程度,毛根毛髪は5本程度を採取させて頂きます。採取に伴う身体の危険性はほとんどありません。
また,これらの組織に含まれるDNA,RNA,たんぱく質という物質を取り出し,これを調べます。「DNA」は,A, T, G, Cという四つの印の連続した鎖です。印は,一つの細胞の中で約30億個あり,その印がいくつかつながって遺伝子を司っています。このつながりが遺伝子です。一つの細胞の中には2万から3万個の遺伝子が散らばって存在しています。このなかのどの部分が,あなたの脳腫瘍の病気の程度や進み具合,脳腫瘍になりやすいか,脳腫瘍の治療薬は効きやすいか,副作用は起こらないかなどと関係があるかはまだはっきり分からない段階ですのでDNA・遺伝子のすべてについて調べる予定です。DNAから作り出されるRNA,たんぱく質についても同様です。これらのなかには脳腫瘍だけで起こっている情報と,あなたの体質と関連する親から子に受け継がれていく情報が含まれます。
こうやって調べたあなたの情報は,他の脳腫瘍の患者さんの情報と合わせて解析を行い,DNA・遺伝子のどの部分の情報が治療に役立てられそうかを調べます。さらに,これまでの診療でカルテに記録されている血液検査や尿検査結果,画像検査,病理検査などのデータを収集して,ゲノム・遺伝子解析結果と照合し,その臨床病理学的意義の解明研究を行います。特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。
この研究では,採血した血液から直接精製したDNAを解析に使わせていただくだけでなく,場合によっては血球の一種であるリンパ球を不死化(癌化)し,細胞株(セルライン)として保存して使わせていただくことをお願いしたいと考えています。この細胞株を使うことによって,解析にもちいるDNAが枯渇してしまうといことを心配せずに,必要に応じてDNAを調整し,解析を進めていくことができます。なお,保存する生体試料(DNA及び細胞株)は,他の遺伝子解析研究に使わせていただく可能性があります。DNAの抽出および細胞株を作成する作業は一部を外部(株式会社エスアールエル)に委託することがあります。個人情報の取り扱いに関しては下記の通り十分注意いたします。
また,先に記載した本研究目的達成のため,前述の共同研究施設との共同研究を行うため,我々が採取した腫瘍や血液試料と,それに付随する個人が特定できない範囲での上記臨床情報を,解析実施機関へ送付することがあります。提供される試料や情報・データ等は,セキュリティーの確保された電子データとして,あるいは専門業者による郵送などにて各施設間にて授受を行います。

個人情報の保護

この研究に関わって収集される試料や情報・データ等は,外部に漏えいすることのないよう,慎重に取り扱う必要があります。
あなたの人体試料や情報・データ等は,患者固有の個人標識番号をつけて連結可能匿名化し,全ての解析はこの番号のみを使って行います。東京大学医学部脳神経外科及び,一部は上記共同研究施設〈解析担当施設〉に送られ解析・保存されますが,匿名化できる個人情報については,解析や送付前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り,代わりに新しく符号をつけ,どなたのものか分からないようにした上で,当研究室において管理責任者が,個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン,及び鍵のかかるロッカーで厳重に保管し,外部からのアクセスを不可能とします。ただし,必要な場合には,当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い,結果をあなたにお知らせすることもできます。
また,ゲノムデータやゲノム情報については,上述の共同研究機関〈解析担当〉に送られ解析・保存されますが,解析担当施設の管理責任者により,個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコン,鍵のかかるロッカー等で厳重に保管されます。
★この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか,下記の研究事務局まで2026年8月31日までにご連絡ください。ご連絡をいただかなかった場合,ご了承いただいたものとさせて頂きます。
研究結果は,個人が特定出来ない形式(必要な場合にのみ,年齢,性別のみを記載し,個人を特定する恐れのあるイニシアル等は用いない)で学会発表や学術雑誌及びデータベース上等で公表します。またゲノムデータの公開を行う場合,自由なアクセスが可能な公共データベースへの登録は,体細胞変異情報に限定,または胚細胞の配列情報については個人が特定されないような集団での頻度などの集計された形とします。個人の胚細胞の配列情報に関しては研究者を含めた協議を行い許可されたものだけに限定的な公開を行います。この研究はどの時点で同意を撤回することも自由ですが,一度研究の成果,遺伝子の情報を公開してしまいますと,その部分については取り消しが非常に難しくなることをご理解ください。また公表されると,その情報が別の研究者によって別の観点から解析される可能性があることもご承知いただきたいと思います。また、製薬企業等の民間企業や外国にある研究機関に所属する研究者もデータを利用する可能性があります。将来、どの国の研究者から利用されるか、現時点ではわりません。しかし、どの国の研究者に対しても、国内法令に沿って作成されたデータベースのガイドラン等に準じた利用が求められます。しかし研究成果,遺伝子情報を公表することにより,国内外の研究者が情報を共有でき,あなたの病気の解明,治療法の開発がより早く進むと考えられます。
収集したデータは厳重な管理のもと,研究終了後5年間保存されます。しかし,将来の研究のための貴重な資源として,許可を得て,研究終了後も引き続き保管させて頂くこともあります。符号により誰の人体試料かが分からないようにした上で,使い切られるまで保管します。なお,将来,当該資料(試料)等を新たな研究に用いる場合は,改めて東京大学倫理委員会の承認を受けた上で用います。
なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。ご不明な点がありましたら主治医または研究事務局へお尋ねください。

  • 本研究は,文部科学省科学研究費新学術領域「先進ゲノム支援」の一部として実施し,財政的な支援を受けております。また,この研究に関する費用は,文部科学省科学研究補助金(基盤研究(B))からも支出されています。
  • 本研究に関して,開示すべき利益相反関係はありません。
  • 本研究は,東京大学医学部利益相反アドバイザリー機関に報告し,利益相反マネジメントを適正に行っています。
  • 尚,あなたへの謝金はございません。

2022年12月

問い合わせ先

東京大学大学院医学系研究科脳神経医学分野脳神経外科
講師 宮脇 哲
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5800-8853(内線 37595)  FAX:03-5800-8655
Eメールでのお問い合わせ:smiya-nsu@m.u-tokyo.ac.jp

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