東京大学医学部脳神経外科

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診療案内

脊髄小児外来

毎週金曜日午前と午後に脊髄小児外来を行っております。
ここでは脊髄疾患と小児脳脊髄疾患を診療しております。対象となる疾患は以下の通りです。

① 脊髄疾患

YouTubeでも紹介しております。
https://www.youtube.com/watch?v=n8VBhhstvaQ

1) キアリ奇形

キアリ奇形は後頭部の頭蓋骨(後頭骨)が小さめの患者さんにおいて、本来そこに収まるべき小脳が頭蓋骨の下の頸椎の中に落ち込むことで、頭痛や手や腕の筋力低下、しびれなどが起こる疾患です。頚髄に空洞症(脳脊髄液が貯まってしまうこと)が生じていることもしばしば見られます。生命の危険に直結する疾患ではありませんので、多くの場合は手術を急ぐものではありません。治療が必要かどうかをしっかりと相談します。手術は症状の悪化を止める、できれば改善させることが目的です。

2) 脊髄血管障害

主に硬膜動静脈瘻を治療しております。これは動脈と静脈がショートカットしてしまう疾患で、その結果脊髄が鬱血してしまう病気です。その結果として、歩行障害や排尿・排便障害を経験します。特に高齢の男性に生じやすい疾患です。
手術では背中を一部切開し、脊椎の骨に窓を作成して、顕微鏡を用いて操作を行います。手術中には電気生理学的モニタリングにて手足の動きや感覚の調子を把握します。また手術中に蛍光造影剤を使用して動脈と静脈の形態や異常な血管の同定を行います。
東大病院では血管内カテーテル検査をしっかり行ってから手術に臨みます。結果として血管内カテーテルを用いた血管塞栓術が有効であると判断されるケースがあり、その場合は手術ではなく血管内カテーテル治療をお勧めします。東大病院では手術も血管内カテーテル治療も対応できます。

3) 脊髄腫瘍

脊髄腫瘍には良性腫瘍から、診断治療を重点的に行うべき悪性腫瘍まで含まれます。
良性腫瘍は手術による摘出がとても大切です。東大病院では手術前に検査入院を行い、頭部から脊髄まで、また他臓器も含めて全身をくまなく調べ、腫瘍の局在とその原因を精査するところから始まります。3T(テスラ)の高精細MRIだけでなく、動静脈や脊椎との位置関係を調べるCT、PET検査、必要に応じてカテーテルを用いた脳脊髄血管撮影も行います。これらの画像を用いて三次元画像(3D画像)を作成し、腫瘍と正常な脊髄、血管との位置関係を可視化します。この画像は患者さんにもお見せし、病気の様子を理解いただくことができます。
手術では顕微鏡下に精緻な操作を行います。電気生理学的モニタリングを行い、手術中でも手足の動きをモニターしながら腫瘍摘出を進めることで、手術後に麻痺や感覚障害が生じるリスクを減らしております。また5-ALA(アミノレブリン酸)という、腫瘍を可視化する色素を用いて腫瘍と正常を見極める方法も採用しております。

脊髄腫瘍は手術だけでは十分に治らないことがあることに注意が必要です。脊髄神経膠腫はWHOグレードにて1〜4の4段階あり、グレード2以上は正確な診断と手術、手術後の放射線化学療法が必要です。診断は神経病理医による病理診断と共に、ゲノム解析を用いて特徴的なゲノム異常があるかどうかを調べることでより正確にどのような治療が必要であるかがわかります。神経病理医による診断とゲノム解析の両方が可能な医療機関は限られているため、患者さんは注意が必要です。

また近年はがんゲノムプロファイリング検査(オンコパネル検査)が保険適用となりました。これは腫瘍からDNAやRNAを抽出して保険診療にてゲノム解析を行い、個々によって異なるゲノム異常に基づいて有効な治療薬を特定する、「個別化医療」のために行う検査です。東大病院は全国で13しかない、がんゲノム医療中核拠点病院の1つであり、当院でエキスパートパネルという専門家の会議を開き、すべての症例を1例ずつ審議して治療薬候補を議論しております。脊髄腫瘍は稀少癌であり、高度な医療を受けられる病院において個々の症例に対する十分な診断と治療を受けなければいけません。

東大病院では脊椎・脊髄センターを運用しております。脳神経外科は整形外科、脳神経内科、麻酔科とチームを組み、連携して診療を行っております。例えば整形外科は脊椎(骨の部分)の操作に優れており、整形外科によって脊椎の開閉を、脳神経外科によって脊髄の病変の治療を行うことで高度な安全性がある手術を行うことができております。2カ月に1回ミーティングを開催し症例の診断治療法の議論を行いつつ、日常的にもお互いの科への紹介を行い患者さんへのベストな治療を提供しております。
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/sekitsui-sekizui/

② 小児疾患

YouTubeでも紹介しております。
https://www.youtube.com/watch?v=Z4mPAhn07Vw

1) 脳腫瘍

小児脳腫瘍は稀少疾患であり、経験豊富な医療機関で治療を受けることが勧められます。東大病院は小児がん診療を行う連携病院として指定されており、脳神経外科と小児科で連携して診療にあたります。症例によっては脳外科・小児科・放射線科などで合同のミーティングを行い、適切な診療方針を相談する"tumor board"という会議を開きます。脳神経外科では手術を担当し、その後の治療は小児科で行うということも多いです。
また診断には神経病理医による病理診断が必要です。手術によって採取した腫瘍組織に対して様々な免疫染色を行い、正確な診断を行います。
近年は分子診断(採取した腫瘍組織からDNAやRNAを抽出し、ゲノム解析を行う)が重要となってきており、WHO分類に基づいた正確な診断のためには病院内に研究設備を有する施設などで診断が行われる必要があります。
また保険診療で行われる、がんゲノムプロファイリング検査(オンコパネル検査)は、腫瘍において標的とすることのできる遺伝子変異を特定するために行われる検査です。東大病院では2023年からGenMine TOPという、最新のオンコパネル検査を導入しております。東大病院はがんゲノム中核拠点病院であり、エキスパートパネルにて解析結果の解釈と個別化医療の推奨まで行えます。実際に、脳腫瘍の患者さんでオンコパネル検査を行うことで個別化医療が実現し、従来の化学療法ではない分子標的治療が可能となった方が増えてきています。

2) 二分脊椎

東大病院は小児科、小児外科、泌尿器科、整形外科、リハビリテーション科などを含む多数の診療科のネットワークを作り、二分脊椎チームを運用しております。
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/patient/depts/sb/
脳神経外科もその一員であり、出生時の脊髄髄膜瘤の閉鎖術、水頭症の手術とシャントの管理、キアリ奇形の手術、脊髄脂肪腫の手術、脊髄係留解除術などを担当しております。
2カ月に1回程度の頻度で、二分脊椎チームの症例検討会を開催しており、個々の症例について最適な治療法やフォローアップ方法について意見交換を行っております。

3) キアリ奇形

キアリ奇形は後頭部の頭蓋骨(後頭骨)が小さめの患者さんにおいて、本来そこに収まるべき小脳が頭蓋骨の下の頸椎の中に落ち込むことで、頭痛や手や腕の筋力低下、しびれなどが起こる疾患です。頚髄に空洞症(脳脊髄液が貯まってしまうこと)が生じていることもしばしば見られます。生命の危険に直結する疾患ではありませんので、多くの場合は手術を急ぐものではありません。治療が必要かどうかをしっかりと相談します。手術は症状の悪化を止める、できれば改善させることが目的です。

脊髄疾患、小児疾患に関するご相談

脊髄小児外来(金曜日の午前)にて診察いたしますので、予約センター(03-5800-8630)にお申し付けください。セカンドオピニオンも随時お引き受けいたします。その場合はセカンドオピニオン外来をご予約ください。

脊髄小児外来
担当医師  高見 浩数 (たかみ ひろかず)

連絡先 〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 脳神経外科
03-3815-5411(代表)

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