ゲノム診療部における遺伝性腫瘍の取り組み
東京大学医学部附属病院は急速に進歩しているゲノム医療の重要性に鑑み2017年4月より診療体制を一新し、ゲノム診療部を新設し、従来取り組んできた遺伝病・難病の部門に加え、診療科横断的な遺伝性腫瘍部門を新たに開設しました。2018年4月からは遺伝性腫瘍部門の外来枠を拡大し、月・水・木曜日に認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医、さらには各分野の担当医と協力し、遺伝性腫瘍外来に取り組んでいます。遺伝性腫瘍の特徴として、通常のがん好発年齢よりも若く発症することが多く(若年発症)、特定のがん発症リスクが高くなる(生まれつきがんになりやすい)ことがわかっています。遺伝性腫瘍診療は関連する家族歴や遺伝子の情報等をもとに、特に気を付けなくてはならないがんの種類(良性疾患も含む)を知ることで、通常の年齢よりも若い時期から検診を始めるなど、がんの予防、早期発見、早期治療に結びつけていく医療です。また、昨今注目されているがんゲノム医療(クリニカルシークエンス)においても、がん細胞でのみ生じている遺伝子異常(一次的所見)のほかに、二次的所見として遺伝性腫瘍の原因遺伝子の変異がわかることがあります。こうした二次的所見に対応するための院内整備もゲノム診療部を中心に取り組んでいます。