新型コロナウイルス感染症蔓延時の病院間連携

新型コロナウイルス感染症の第3波をうけ、コロナの急性期を脱した患者を大学病院から後方支援病院へつなぐ体制づくりを目的とし、東大病院に調整本部を設置し開始した「3大学病院-後方支援医療機関連携コンソーシアム」。医療のひっ迫を回避する要となる病院間連携のモデルケースを構築し、その役目を果たしました。【東大病院新型コロナ対策本部】

3大学病院-後方支援医療機関連携コンソーシアム(以下「後方連携コンソーシアム」という)を開始したのは、2021年2月15日、新型コロナ第3波の入院患者用ベッドの確保が問題となり始めた頃にさかのぼります。コロナの急性期を脱した患者を大学病院から後方支援病院へ送るという流れを整え、大学病院が次の重症コロナ患者をスムーズに受け入れるための体制づくりを目的に始まりました。当初は、文京区の3つの大学病院(東京医科歯科大学病院、日本医科大学付属病院、東京大学医学部附属病院)と賛同を得た17の協力病院とともに始まりましたが、対象患者数の増加に伴いさらに賛同を得た病院を加え2022年3月現在では、36の協力病院を数えるまでになりました。

それぞれの後方支援病院に受け入れる患者の病状や条件を予め登録してもらい、後方連携コンソーシアムの調整本部(東大病院)では、大学病院から転院の依頼を受けた場合にはそれらの内容を確認し、病院間の調整を行います。通常(コロナ感染症以外の)後方支援病院への転院は、ある程度の時間をかけて調整することが多いですが、より早く適切な転院先を決定するため、やりとりする情報の量や内容、連絡方法などにも工夫をして取り組んできました。

本取り組みは全国の病院間連携のモデルケースになったと自負しておりますが、この度、東京都による同様のシステムが軌道に乗ったことに伴い、後方連携コンソーシアムは役目を終えることになりました。今後、新たな新興感染症が発生した場合でも、本取り組みのスキームは活用することが可能であり、病院の役割分担をふまえた、新たな病院間連携の在り方を示すことができたと考えています。

先日行われた関係者との活動報告会では、当システムが病院間のコミュニケーションを基に“迅速かつ丁寧に”実施され、大学病院本来の役割である重症患者受け入れに役立ったと高く評価いただきました。1年1か月の間、約100件の転院調整を支えていただいた3大学病院の担当先生はじめ後方連携病院の方々に心からお礼申し上げます。

なお、本取り組みは、4月6日(水)に行われました厚生労働省の第79回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにおいて報告し、高い評価を得ました。

  • 活動報告会
  • 活動報告会
  • 病院間の調整
  • 転院