【プレスリリース】骨粗鬆症治療薬における変形性関節症発生リスクの比較研究
2025年07月11日研究
―ロモソズマブは変形性関節症発生リスク低減―
ロモソズマブは、スクレロスチンに対するヒト型モノクローナル抗体製剤であり、骨形成促進と骨吸収抑制の二重作用を有します。日本では、2019年に骨粗鬆症治療薬として保険収載され、臨床で処方されています。一方、テリパラチドは副甲状腺ホルモン製剤であり骨形成促進作用を有し、2010年より骨粗鬆症治療薬として保険収載されています。これらの薬剤が変形性関節症の発生リスクに与える影響については、基礎研究では検討がなされているものの、臨床におけるエビデンスは限られているため、検証が求められています。
そこで、東京大学大学院医学系研究科の羽多野雅貴(医学博士課程)、齋藤琢准教授、田中栄教授、康永秀生教授らの研究グループは、日本人の骨粗鬆症患者を対象に、新薬ロモソズマブの投与を新規に開始した群と従来薬テリパラチドの投与を新規に開始した群の間で、変形性関節症(膝関節、股関節、手指の関節を含む)の発生リスクを比較する研究を実施しました。その結果、ロモソズマブ投与群は、テリパラチド投与群と比較して変形性関節症のリスクが低いことを明らかにしました。この研究成果は、ロモソズマブ投与が骨粗鬆症の患者さんにおいて変形性関節症リスクを低減する可能性を示すものであり、骨粗鬆症治療薬の選択における有用なエビデンスとなることが期待されます。
本研究は、日本時間2025年7月11日に学術誌 Annals of the Rheumatic Diseases オンライン版 Published Ahead of Print に掲載されました。
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