【プレスリリース】コロナワクチンや化粧品にも使用されるポリエチレングリコールの体内動態解明に貢献

2023年04月06日研究


―将来の医療や製品開発に革新的なインパクトをもたらす可能性―

東京大学大学院工学系研究科の石川昇平助教、酒井崇匡教授と、東京大学大学院医学系研究科の加藤基大学院生(当時)、東京大学医学部/医学部附属病院の栗田昌和講師らによる研究グループは、皮下に注入されたポリエチレングリコールの体内動態を明らかにしました。ポリエチレングリコール(PEG)は、ドラッグデリバリー、組織工学、診断など多様な生物医学的用途に広く利用されている高分子であり、本研究グループが開発した医療用ゲル(テトラペグゲル)の原料でもあります。本研究では、PEGのマウス皮下からの拡散、体内分布、および代謝挙動を明らかにしました。これまでに、多くの研究者がPEGを医療用途に活用しているにもかかわらず、皮下組織など局所注射時の代謝挙動はこれまで明らかにされていませんでした。

研究グループは、本研究により、PEGの分子量が生体内挙動に大きく影響することを明らかとしました。具体的には、分子量10,000以下のPEGは皮下組織で徐々に拡散し、脂肪組織へ移行し、その後主に腎臓に分布する一方、分子量20,000以上のPEGは皮下組織に滞留し、主に心臓、肺、肝臓に分布することが示されました。本研究は、広く使用されているPEGの生体内挙動を解明し、さまざまな材料開発の基礎的知見を提供するものです。本研究成果は、「ACS Macro Letters」のオンライン版で公開されました。

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東京大学大学院工学系研究科 プレスリリース