【プレスリリース】冠動脈疾患の遺伝的リスクを体系的に解明

2022年12月14日研究


―国際コンソーシアムによる100万人規模のゲノム解析―

理化学研究所(理研)生命医科学研究センター循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チームの伊藤薫チームリーダー、小山智史客員研究員、ヒト免疫遺伝研究チームの石垣和慶チームリーダー、東京大学大学院医学系研究科循環器内科学の小室一成教授(東京大学医学部附属病院 循環器内科)、東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻複雑形質ゲノム解析分野の鎌谷洋一郎教授らの共同研究グループは、100万人以上のサンプルを用いた「冠動脈疾患(CAD)[1]」のゲノムワイド関連解析(GWAS)[2]を実施し、CADに関わる病態を体系的に明らかにしました。

本研究成果は、CADの背景にある遺伝的基盤の包括的な理解に役立つだけでなく、ゲノム情報に基づくCADの精密医療実現に貢献すると期待できます。

今回、共同研究グループはCADの遺伝的基盤解明のため、ヨーロッパ人、日本人症例100万人以上を対象にGWASを実施し、疾患感受性座位[3]を新たに同定しました。これらの座位を統合的に解析することにより、CAD発症機序への初期発生プロセス、細胞周期シグナル、血管細胞の移動と増殖の関与を明らかにしました。また、新規同定座位の一つがMYO9B遺伝子[4]のエンハンサー[5]活性の変化を通じて血管細胞の運動性を調節しCADリスクを媒介することを、CRISPR-Cas9[6]を用いた実験で示しました。これらの解析により、250以上のCADの疾患感受性座位が同定され、系統的に特徴付けられました。

本研究は、科学雑誌『Nature Genetics』オンライン版(12月6日付)に掲載されました。

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