【プレスリリース】SGLT2阻害薬の循環器疾患への作用が“クラスエフェクト”であることを示唆

2022年05月18日研究


- 国内疫学ビッグデータからの知見 -

SGLT2阻害薬は、腎臓にある近位尿細管での糖の再吸収を阻害することで血糖値を下げる糖尿病治療薬として開発されました。そして、近年の大規模臨床試験において、SGLT2阻害薬は、糖尿病の有無に関わらず、心不全や慢性腎臓病に対して保護的に作用することが示されたことから、糖尿病のみならず心不全などの循環器疾患や慢性腎臓病などの多くの生活習慣病治療に用いられるようになっています。その一方で、現在、国内では6種類のSGLT2阻害薬が保険適用されていますが、SGLT2阻害薬の効果に薬剤間で差があるのか、あるいはその効果はSGLT2阻害薬として共通(クラスエフェクト)なのかについては臨床におけるエビデンスが乏しい状況でした。

この度、東京大学の小室一成教授、金子英弘特任講師、康永秀生教授、岡田啓特任助教、鈴木裕太研究員、佐賀大学の野出孝一教授らの研究グループは、国内の大規模なレセプトデータベースを用いて、約25,000症例の新規にSGLT2阻害薬が処方された糖尿病症例を解析し、SGLT2阻害薬の6種類の薬剤間で、心不全や心筋梗塞、脳卒中などの循環器疾患の発症率が同等であることを示しました。これは、SGLT2阻害薬の循環器疾患への作用がクラスエフェクトであることを示唆するものです。本研究成果は、今後の生活習慣病や循環器疾患の診療におけるSGLT2阻害薬の使用にあたり、重要なリアルワールドエビデンスになることが期待されます。

本研究は、日本時間5月18日に医学雑誌「Cardiovascular Diabetology」に掲載されました。



ファイルを保存される方は、マウスの右クリックから「対象をファイルに保存」、「名前をつけて保存」などを選択して保存して下さい。