【プレスリリース】心臓が正しく動くために必要な新しい仕組みを発見

2021年03月26日研究


-心臓突然死の治療に期待-

心臓が血液を送り出すポンプとして正常に動き続けるためには、心臓を構成する多数の心筋細胞が同期して、正しいリズムで収縮することが必要です。心臓へのストレスやさまざまな心臓病によって、この同期が保てなくなり、心臓が正常の動きでなくなるために、心臓のリズムが狂ってしまう不整脈が出現し突然死につながることが知られています。しかし、そもそも、どのように心筋細胞どうしの収縮の同期が維持され、正常な心臓の動きが維持されているのかについては、よく分かっていませんでした。

東京大学医学部附属病院の藤生克仁特任准教授、小室一成教授、および千葉大学大学院医学研究院の真鍋一郎教授らの研究グループは、心臓に存在している免疫細胞に注目して、この細胞が分泌するタンパク質が、心筋細胞どうしの小さな穴を通したつながりに必要であることを世界で初めて発見しました。この免疫細胞や、免疫細胞が分泌するタンパク質をなくしたマウスでは、心筋細胞どうしの同期が失われ、さまざまな不整脈が出現し、わずかなストレスで高率に心臓突然死を起こしました。心臓が正常に働くために必要な新しい仕組みが分かったことで、今後、不整脈や心臓突然死の新しい診断・治療・予防へつながることが期待されます。

本研究成果は、日本時間3月26日に英国科学誌Nature Communications(オンライン版)に掲載されました。



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