【プレスリリース】十二指腸乳頭部に存在する胆管幹細胞および乳頭部癌起源細胞を同定

2021年01月18日研究


~胆管再生治療や新規乳頭部癌治療法の足掛かりに~

 十二指腸乳頭部癌は、進行し切除不能になると有効な化学療法が確立しておらず、非常に予後不良です。また治癒切除できた場合にも、術後の胆管狭窄などの合併症が問題となっています。東京大学医学部附属病院 消化器内科の早田有希医師、中川勇人助教[特任講師(病院)]、小池和彦教授らのグループは、十二指腸乳頭部の胆管周囲付属腺という小さな腺組織の中に、胆管上皮幹細胞が存在することを世界で初めて発見しました。また同細胞集団は高い発癌ポテンシャルを有し、十二指腸乳頭部癌の起源細胞にもなっていることを明らかにしました。興味深いことに、乳頭部の胆管周囲付属腺は、隣接する平滑筋細胞(Oddi括約筋)との相互作用を通じて幹細胞機能を維持しており、この相互作用を阻害することによって乳頭部癌の発症を著明に抑制できることもわかりました。本研究成果は、肝胆膵領域の術後合併症である胆管狭窄の病態解明や胆管再生療法の足掛かりとなると同時に、十二指腸乳頭部癌に対する新規治療法開発など、これまで遅れていた胆管・乳頭部領域のさまざまな病態の解明に結びつく可能性があります。

 本研究成果は、米国科学誌『Gastroenterology』の本掲載に先立ち、日本時間1月16日にオンライン版にて公開されました。

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