【プレスリリース】複数の精神疾患に共通する大脳白質の異常を発見

2019年11月29日研究


~統合失調症と双極性障害に共通の異常~

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)精神保健研究所 精神疾患病態研究部の橋本亮太部長、東京大学医学部附属病院精神神経科の越山太輔医師(留学中)、同科の笠井清登教授(東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN)主任研究者)らの研究グループは、認知ゲノム共同研究機構 (COCORO) によるオールジャパンでの多施設共同研究体制のもと、日本全国の12の研究機関から統合失調症 696名、双極性障害 211名、自閉スペクトラム症126名、うつ病(大うつ病性障害)398名、健常者1506名の計2937名のMRI拡散強調画像データを収集し、大脳白質微小構造についての大規模解析を行いました。統合失調症においては、健常者と比較して、鉤状束、脳梁体、帯状束、脳弓のFAの低下やMD、AD、RDの増加が認められました。

次に精神疾患共通及び特異的な異常についての検討を行いました。健常者に比べ、統合失調症、双極性障害、自閉スペクトラム症では大脳白質領域のひとつである脳梁体に共通してFAの低下もしくはMD、RDの増加が見られ、特に統合失調症と双極性障害では、脳弓や帯状束のような大脳辺縁系の白質領域に共通してFAの低下もしくはMD、AD、RDの増加が見られました。一方で、健常者と比べた場合に統合失調症にのみ、鉤状束のような大脳新皮質同士をつなぐ大脳白質領域にMD、AD、RDの増加が見られることがわかりました。

しかしながら健常者とうつ病では大脳白質領域に微小構造の違いは見られませんでした。疾患同士での直接比較では、統合失調症と双極性障害との間に大脳白質領域の微小構造の違いは見られませんでした。一方で、統合失調症および双極性障害ではうつ病よりも大脳辺縁系領域でMDとRDが増加しており、これらは統合失調症および双極性障害と健常者との間の違いと同じようなパターンが見られました。以上の結果により、統合失調症と双極性障害は似通った病態生理学的特徴をもち、うつ病は健常者に近い生物学的特徴を有しているかもしれないことが本研究で新たに明らかにされました。また、自閉スペクトラム症では、脳梁体にのみFAの低下が見られたため、自閉スペクトラム症もまた、より健常者に近い生物学的特徴を有しているかもしれないことがわかりました。本研究の成果は、近年進みつつある精神疾患の客観的診断法の開発に役立つと考えられます。

本研究成果は、日本時間2019年11月29日(金)午前10時に「Molecular Psychiatry」オンライン版に掲載されました。


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