【プレスリリース】子宮移植、代理懐胎、養子縁組に対する国内の意識調査について

2019年10月31日研究


東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科の平田哲也医師、女性外科の大須賀穣教授らは、子宮移植、代理懐胎、養子縁組に対する国内の意識調査を行いました。ロキタンスキー症候群などの先天的に子宮を持たない女性は、自らの子宮で妊娠、出産をすることは不可能です。また、これらの女性が児を得るには、養子縁組や代理懐胎などの選択肢がありますが、代理懐胎は、多くの倫理的、社会的問題のために日本では行われていません。最近、海外では、そのような女性に対して、研究段階ですが、子宮移植という新たな方法が行われています。そして、2014年にスウェーデンのグループより、生体ドナーからの子宮移植で出産に成功したという報告が、2019年にブラジルのグループより、脳死ドナーからの子宮移植で出産に成功したという報告がありました。世界で既に10名以上のこどもが生まれています。日本でも、臨床研究に向けた指針が策定され、今後、子宮移植を臨床研究として行われる可能性があります。一方で、子宮移植は、安全性の問題、倫理的、社会的問題を内包しています。以前に20代30代の女性を対象とした意識調査で、40%以上の人が子宮移植に肯定的であったとの報告がありました。しかしながら、意識調査としては、ドナーとなる可能性のある40代以上の女性や男性の意見も反映されるべきと考えました。そこで今回、子宮移植に対する意識調査を20歳~59歳の男女を対象に行いました。


子宮性不妊の患者に対する「子宮移植」や「代理懐胎」に対する意識は、肯定的な意見が否定的な意見を上回っていました。さらに、その差は性別、年齢、不妊経験の有無、子宮移植に対する知識の程度に影響を受けていることもわかりました。また、肯定的な意見の理由で最も多かったのが「子宮移植が子宮性不妊の患者にとっての希望になること」、否定的な意見の理由で最も多かったのが、「子宮移植のための手術のリスクが高い」でした。一方で、ほとんどすべての質問において30%以上の人が「わからない」と答えています。また、子宮移植の知識のレベルが高いことで、「わからない」と答えた人が減り、子宮移植に対する肯定的意見は増えました。また同時に、否定的な意見は女性では変わりませんでしたが、男性では増えました。このことから、より広く社会的合意を得るためには、子宮移植の発展と安全性についての知識を提供し、議論を活発化させる必要があると考えられます。また、代理懐胎について肯定的な意見も少なくなく、子宮移植とともに同時に議論していく必要性も示唆されました。本研究成果は、これらの結果も踏まえて、今後の子宮移植に関する課題に向き合う早期のルール作りにつながることが期待されます。


本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「成育疾患克服等総合研究事業」の「生殖補助医療により出生した児の長期予後と技術の標準化に関する研究(研究開発代表者:苛原稔)」及び「生殖補助医療の技術の標準化と出生児の安全性に関する研究(研究開発代表者:苛原稔)」により実施され、日本時間10月31日に米国の科学雑誌PLOS ONEにて発表されました。


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