【プレスリリース】大腸がんの新しい発症メカニズムを解明

2018年11月20日研究


大腸がんは、大腸の中にある少数の幹細胞に特定の遺伝子異常が蓄積することで発生するものと考えられていました。しかし幹細胞以外の細胞ががん化しうるかどうかや、もしそうであればどのようなメカニズムでそうした細胞ががんに変化していくかについては分かっていませんでした。今回、東京大学医学部附属病院消化器内科の早河翼助教、坪井真代医師、小池和彦教授らは、特定の内分泌系前駆細胞ががんの起源となりうること、またその過程でNotch経路とYAP経路ががん細胞化に重要であることを明らかにしました。本研究グループはマウスモデルを用いて、内分泌系前駆細胞の中でNotch経路が活性化すると幹細胞のような働きを持つようになり、さらに大腸がん発生にかかわる重要な遺伝子であるApc遺伝子の変異を生じさせることでがんのもととなることを示しました。また、潰瘍性大腸炎の患者さんでみられるような炎症発がんの発生過程においては、この細胞の中のYAP経路が重要な役割を果たすことを明らかにしました。今回の新しい発見により、これまで分かっていなかった多様な大腸がんの発生メカニズムが明らかになるとともに、内分泌系前駆細胞やNotch・YAP経路を標的とした新規大腸がん治療の開発につながることが期待されます。

これらの研究成果は、米科学誌『Gastroenterology』に掲載されるのに先立ち、米国東部時間11月15日にオンライン版にて公開されました。なお本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的先端開発支援事業(PRIME)の支援を得て東京大学とコロンビア大学の共同で行われました。

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