【プレスリリース】新規作用機序に基づくB型肝炎ウイルス治療薬候補を同定

2018年10月25日研究


B型肝炎は、全世界で2億5千万人以上が罹患し毎年約90万人が死亡しているとされており、その克服は世界的な重要課題とされています。B型肝炎の長期予後改善のための治療目標はウイルスタンパクであるHBs抗原の陰性化(Functional cure)ですが、既存のB型肝炎治療薬では達成困難であり、新規治療法の登場が強く望まれています。そうした中、ウイルスタンパクHBxと宿主タンパクDDB1との結合を端緒とするウイルス複製の制御機構が徐々に明らかとなり、新しい治療標的として注目されてきました。東京大学医学部附属病院 消化器内科の關場一磨 大学院生、大塚基之 講師、小池和彦 教授らの研究グループは、相補型スプリットルシフェラーゼアッセイ技術を応用し、HBxとDDB1との結合阻害剤を簡便に探索できるスクリーニング系を構築し、それによってニタゾキサニドをB型肝炎治療候補薬剤として同定しました。さらに、ニタゾキサニドはHBxとDDB1結合を阻害することによって、ウイルスRNAをはじめとしたウイルス産物量を有意に抑えるという、既存B型肝炎治療薬には無い効果を有することを、初代ヒト肝細胞を用いた検討などで明らかにしました。ニタゾキサニドは原虫による腸炎の治療薬として米国食品医薬局(FDA)で既に認可されている薬剤であり、今後のB型肝炎治療薬への転用(ドラッグリポジショニング)が期待されます。本研究成果は、米国東部夏時間10月24日にCellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology(オンライン版)にて発表されました。なお、本研究は日本医療研究開発機構(AMED)肝炎等克服実用化研究事業の肝炎等克服緊急対策研究事業(研究開発課題名「B型肝炎ウイルスRNAと相互作用する宿主因子の網羅的同定とその制御による病態制御法開発」研究代表者:大塚基之)および文部科学省科学研究費補助金などの支援により行われました。

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