【プレスリリース】胚が子宮内膜に浸潤する着床のメカニズムを解明

2018年06月19日研究


~胚浸潤を可能にする子宮内膜の低酸素誘導因子HIF2αの作用~

着床障害は生殖医療の大きな課題となっていますが、有効な診断・治療法は確立していません。着床は、子宮内に入ってきた胚が子宮内膜と接着する過程(胚接着)と、その後に胚が子宮内膜に入り込む過程(胚浸潤)を経て成立します。着床の成立にはこれらの過程において子宮と胚の精妙な相互作用が必須と考えられてきましたが、その仕組みの詳細はこれまでわかっていませんでした。東京大学医学部附属病院の廣田泰講師らは、遺伝子改変マウスを用いた研究を行い、低酸素で誘導される転写因子である低酸素誘導因子(HIF)が子宮内膜で作用して胚浸潤の過程を調節していること、子宮内膜間質のHIFが重要な働きを持っており、子宮内膜管腔上皮をはがして子宮内膜間質を露出させ胚が子宮内膜間質に入り込みやすくすると同時に、子宮内膜間質が胚とじかに接することによって胚が生存できるよう働きかけていることを明らかにしました。この結果、子宮というブラックボックスのなかで起こる着床の仕組みが解明され、着床障害による不妊の一因が明らかとなりました。今後ヒト子宮内膜におけるHIFの作用を検討することで、今回の研究が着床障害の新規診断・治療法の開発につながっていくことが期待されます。

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