【プレスリリース】日本人におけるレアバリアントの心筋梗塞発症への関与を解明

2018年05月25日研究


~コレステロール値・発症年齢に大きく寄与する遺伝子変化~

東京大学大学院医学系研究科 循環器内科の森田啓行講師と小室一成教授、東京大学大学院医学系研究科 医学博士課程/理化学研究所生命医科学研究センター 研修生(研究当時) の田島知幸、理化学研究所生命医科学研究センター 循環器疾患研究チームの伊藤薫チームリーダーと基盤技術開発研究チームの桃沢幸秀チームリーダーは、大規模ヒトゲノム研究を行い、日本人における心筋梗塞発症と強く関係する遺伝子変化を明らかにしました。

心筋梗塞と関係するSNP(一塩基多型)に関してはこれまでにも多くの報告がありますが、それらが単独で臨床所見に与える影響は小さく臨床的有用性は未だ明らかになっていません。今回発見された遺伝要因は、SNPよりも頻度は低いもののインパクトはより大きな遺伝子変化「レアバリアント」(一般人口の5%未満に分布)です。

2つの脂質関連遺伝子LDLRおよびPCSK9に起こるこの遺伝子変化は単独で血液中のLDLコレステロール値を規定し、心筋梗塞発症リスク、さらには心筋梗塞発症年齢にも影響を及ぼします。脂質異常症と関連するLDLRおよびPCSK9のレアバリアントを有する個人を血中脂質上昇前の早期に割り出すことにより、特にその個人を対象に積極的脂質降下療法を開始し将来の心筋梗塞発症を抑えることが可能となります。今回の知見は、近未来のゲノムガイド精密医療開発に大いに貢献すると考えられます。

本研究成果は、日本時間5月25日にScientific Reportsにて発表されました。なお本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)オーダーメイド医療の実現プログラム「疾患関連遺伝子等の探索を効率化するための遺伝子多型情報の高度化」(研究代表者:久保 充明 理化学研究所統合生命医科学研究センター・副センター長)等の支援を受けて行われました。

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