【プレスリリース】オートファジーはマウスの聴覚に重要である

2017年05月11日研究


聴覚系の感覚細胞である、蝸牛有毛細胞は一度障害されると機能的回復は困難であり、その生存・恒常性維持は聴覚機能に非常に重要です。東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の藤本千里助教、山岨達也教授らは、細胞の恒常性維持に重要であるオートファジーが、マウスの聴覚機能に重要な役割を果たすことを明らかにしました。

藤本助教らは、オートファジーに必須の分子であるautophagy-related 5(Atg5)を有毛細胞にて欠損させた遺伝子改変マウスを作製し、有毛細胞におけるオートファジー活性が聴覚機能および細胞形態に及ぼす影響を検討しました。有毛細胞におけるAtg5の欠損により、マウスは先天性の高度難聴を呈しました。また、Atg5欠損マウス有毛細胞の組織学的検討では、14日齢において聴毛の変性、および一部の細胞の脱落を認めました。8週齢においては、有毛細胞の変性がさらに進行していました。

本研究により、有毛細胞における恒常的オートファジーは聴覚機能および細胞形態の維持に重要であることが示されました。オートファジーと聴覚障害の病態形成との関連性について、さらなる研究の進展が期待されます。

なお、本研究は、日本時間5月11日に英国科学雑誌「Cell Death & Disease」にて発表されました。

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