【プレスリリース】 コレステロール運搬体(LDL)は薬も運ぶ

2017年04月05日研究


一般に悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLは、血液中で水に溶けにくい脂質(コレステロールや中性脂肪など)を体の各組織に運搬する役割を担っています。LDLコレステロール値(濃度)が高いと、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患に繋がる動脈硬化症を発症する可能性が高まることから、これらの疾患のリスクを予測するためのバイオマーカーとして、多くの健康診断で検査されています。近年、LDLには脂質のみならず、ビタミンEやビタミンKなどの一部の栄養素も分布することが明らかとなり、さまざまな生体内物質の運搬にLDLが関わることが分かってきました。一方、病気の治療に用いられる薬も、服用後は血液中を循環して体の各組織に運ばれますが、薬の運搬にLDLが関与しているのかについては、これまで注目されていませんでした。

東京大学医学部附属病院薬剤部の山本英明大学院生(当時)、高田龍平講師、山梨義英助教、鈴木洋史教授らのグループは、水に溶けにくい性質をもつ薬の多くがLDLに分布すること、そして、それらの薬の体内挙動(血液中から体の各組織への移行)は、LDLコレステロールと同様にLDL受容体によって制御されていることを見出しました。

本研究の成果は、脂質のみならず薬の運搬体としても機能するLDLの新たな側面を明らかにするとともに、LDLの血液中濃度の変動を考慮した薬の投与設計や薬物治療の最適化に繋がるものと期待されます。

なお、本研究成果は日本時間4月4日にScientific Reportsにて発表されました。

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