【プレスリリース】 NF-κB シグナルは軟骨細胞を両面的に制御する

2016年11月11日研究


東京大学大学院医学系研究科整形外科学の小林寛助教、齋藤琢講師らは、軟骨細胞を制御する新たな分子メカニズムを明らかにしました。齋藤琢講師らは以前、転写因子HIF-2αが変形性関節症を促進すること、さらにHIF-2αがNF-κBシグナルによって誘導されることを報告しましたが(Nature Medicine. 16:678-86, 2010)、NF-κBシグナルの軟骨での作用は不明であったことから、NF-κBシグナルの主要な転写因子Rela/p65に焦点をあてた研究を行いました。

軟骨細胞でRelaを完全にノックアウトしたマウスでは、アポトーシスが亢進して軟骨細胞が減少し、変形性関節症が進みましたが、Relaのノックアウトを半分にしたマウスでは逆に変形性関節症が抑えられ、HIF-2αなどの軟骨を変性させる分子が減少していました。NF-κBシグナルの活性が低いとRelaは抗アポトーシス分子を誘導することで軟骨細胞を保護しますが、NF-κBシグナルの活性が高くなるとRelaはHIF-2αなどを強く誘導して関節軟骨を変性させることが分かりました。NF-κBシグナルの活性が軟骨の状態に強く影響することから、その活性の制御が変形性関節症の予防・治療に繋がると期待されます。本研究成果は、日本時間11月10日にNature Communicationsにて発表されました。

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