【プレスリリース】反復配列RNA の異常発現が膵癌発生を促進するメカニズムを解明

2016年09月26日研究


膵癌は抗癌治療の発展した現在においても予後不良であり、難治癌の代表的存在として知られています。この発癌の過程において、単純な配列の繰り返しで構成される反復配列RNAと呼ばれるタンパク質情報を持たないRNA(ノンコーディングRNA)が、癌になる前段階から異常に発現していることが明らかになってきました。東京大学医学部附属病院 消化器内科の岸川孝弘 特任臨床医、大塚基之 助教(特任講師(病院))、小池和彦 教授らの研究グループは、マウスの膵臓の良性腫瘍から樹立した細胞を用いて研究を行い、これまで機能を持たないと考えられてきた反復配列RNAの一種であるMajSAT RNAが、ゲノムやミトコンドリアのDNAの突然変異を蓄積させることで、細胞を癌化させることを見出しました。さらに、その機序として、MajSAT RNAがYBX1というタンパク質と結合してその細胞内局在を変化させることで、正常なDNAダメージ修復機能を阻害して、突然変異の蓄積を促進させていることを示しました。

これらの結果は、癌化の過程の早期から、反復配列RNAが いわば「細胞内変異原」として機能し、発癌プロセスを進める機構として重大な働きをしていることを示唆しており、発癌機序の解明、発癌予防という観点からも重要な成果であるといえます。本研究成果は、日本時間9月26日にNature Communicationsにて発表されました。

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