【プレスリリース】転写因子STAT3を介した子宮内膜の再構築と子宮の再生の仕組み

2016年06月03日研究


~マウス子宮の脱細胞組織移植モデルの新規確立~

子宮では、月経や分娩のあとに次の妊娠に向けてダイナミックに組織が再構築・再生されますが、この子宮が持つ組織の再生の仕組みや過程はこれまでよくわかっていませんでした。細胞の周りで細胞を支持したり細胞の足場となって働きを調節したりしている「細胞外基質」を温存したまま細胞だけを破壊する、「脱細胞化」という技術が新たな再生医療技術として最近注目されています。東京大学医学部附属病院の廣田泰講師らは、摘出したマウス子宮に脱細胞化の処置を行って細胞を取り除いた脱細胞化子宮を作製しました。次に、あらかじめ子宮を部分切除する処置を行った別のマウスに対して、脱細胞化子宮の組織片を移植する手術を行いました。脱細胞化子宮組織の移植部位では1か月後に完全に子宮が再生し、移植部位での妊娠が可能になりました。またこの子宮の再生には転写因子のSTAT3という物質が関与していることが、遺伝子改変マウスを用いた研究で明らかとなりました。本研究により、子宮の再構築の生理的な仕組みや子宮再生の応用研究に役立つ新しい動物モデルを確立しました。この脱細胞化技術は、将来的には子宮の異常で起こる不妊症の新しい治療へ応用されることが期待されます。

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