【プレスリリース】自殺未遂者への救急医療における精神科医療の充実を

2015年11月09日研究


~自殺未遂等の過量服薬による入院患者への精神科介入が、再入院の減少と関連~

自殺未遂者が自殺を完遂する可能性は、自殺未遂者以外の者と比較して、著しく高いといわれています。したがって、自殺者を減らす対策の1つとして、自殺未遂者に対する精神科医療が重要と考えられます。2008年度の診療報酬改定においても、自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ目的で、「救命救急入院料 精神疾患診断治療初回加算」が新設されています。ところが、自殺未遂で受診した患者に対する精神科医療の有効性について、これまで確固たる根拠は示されていませんでした。そこで本研究は、自殺未遂者に対する救急医療における精神科医療の有効性を検証することにしました。

入院を要する自殺未遂の手段の多くは過量服薬です。そのため本研究は、救命救急センターに入院した過量服薬患者に対する精神科医の診察が、再入院の減少と関連しているかを調べました。大規模入院患者データベースを用いて、患者情報・治療内容・病院情報等を分析した結果、救命救急センターに入院した過量服薬の患者への精神科医の診察が、再入院率の低さと関連していることが示されました。本研究の結果は、「自殺未遂者に対する救急医療における精神科医療の充実の必要性」という示唆を、今後の精神保健医療政策や自殺予防政策に与えるものと考えます。

本研究は、東京大学大学院医学系研究科ユースメンタルヘルス講座 金原明子特任助教、公共健康医学専攻 臨床疫学・経済学 康永秀生教授、脳神経医学専攻精神医学分野 笠井清登教授らの研究グループによるもので、これらの成果は日本時間11月9日にBritish Journal of Psychiatry Open に掲載されました。なお、本研究は、厚生労働科学研究費補助金(政策科学推進研究事業 指定研究班)の支援を受けて行われました。

※詳細は下記の添付ファイルをご覧下さい。


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