【プレスリリース】3 段ロケット方式のエピゲノム指令でがんが悪性化する

2015年09月28日研究


―第6の遺伝暗号解除で前立腺がんホルモン療法は効かなくなる―

前立腺がんは欧米では男性で最も頻度の高いがんであり、日本でもその発症者、死亡者は急激に増加しており男性の健康上の重要な問題となっています。男性ホルモンであるアンドロゲンの作用は前立腺がんの発生、進展を担っています。そのため、アンドロゲンの働きを抑える薬を投与するホルモン療法が広く普及していますが、ホルモン療法に対する抵抗力(耐性)を獲得して治療が効かなくなることが大きな問題です。東京大学医学部附属病院22世紀医療センター抗加齢医学講座の井上聡特任教授と同病院老年病科の高山賢一助教は、同病院泌尿器科などと共同研究を行い、前立腺がんのホルモン療法耐性に至る新しい仕組みをエピゲノムの観点から世界で初めて明らかにしました。すなわち、アンドロゲンの作用やホルモン療法の抵抗性の獲得に伴い活性化されるマイクロRNAが、3段階の過程を経て第6の遺伝暗号といわれる「5hmC」をマークするエピゲノム状態を変化させ、がんの悪性化に関わっていることを発見しました。この成果は、ホルモン療法が効かなくなった難治がんの新たな治療戦略の確立に役立つものと期待されます。本研究は文部科学省ならびに日本医療研究開発機構(AMED)の「次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラム『ノンコーディングRNAを標的とした革新的がん医療シーズ』」の支援を受けて行われたものであり、2015年9月25日(英国夏時間)に科学雑誌「Nature Communications」オンライン版で発表されました。

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