【プレスリリース】新しく生まれた嗅細胞の生死は特定の時期に匂い入力を受けるかどうかで決まる

2015年02月12日研究


―匂い刺激で嗅覚障害の改善が期待―

匂いの情報を脳に伝える嗅細胞は、毎日古くなったものが死んでいくため、大人になっても新しく生まれ変わっています。この新しい嗅細胞が既存の神経回路にきちんと組み込まれるため、古いものが失われても私たちの嗅覚が失われることはありません。しかし、新しく生まれた嗅細胞がどのようなメカニズムで、既存の神経回路に組み込まれているのかは明らかになっていませんでした。

東京大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・聴覚音声外科の山岨達也教授、菊田周助教らは、新しく生まれた嗅細胞は匂い入力がないと、既存の神経回路に組み込まれずに細胞死に至ることをマウスにおいて見つけました。さらに新生した嗅細胞の生死が、神経細胞が生まれてから7~14日目に匂い入力があったか、なかったかによって決められていることを発見しました。今回の研究によって、嗅細胞には、匂い入力の有無によって新生嗅細胞の生死が決まる「臨界期」が存在することを見出しました。

嗅覚障害に対する確立された治療法はこれまで存在していませんが、今回の発見によって、特定の時期に嗅覚障害患者に匂い刺激を与える、匂いリハビリテーションの開発につながると期待されます。本研究成果は、2015 年2 月11 日(米国東部標準時間)に米国神経科学学会誌「Journal of Neuroscience(ジャーナルオブニューロサイエンス)」のオンライン速報版で公開されました。

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