【プレスリリース】統合失調症患者の神経細胞でレトロトランスポゾン配列が増大
2014年01月03日研究
― 統合失調症の病態理解への大きな一歩 ―
統合失調症はおよそ100 人に1 人が発症し、幻聴、妄想などの陽性症状、意欲低下などの陰性症状、認知機能障害などが出現し、社会生活が障害される精神疾患です。統合失調症の発症メカニズムには、遺伝因子および環境因子の相互作用による脳発達の障害が関係していると考えられていますが、その詳細なメカニズムはわかっていませんでした。
東京大学大学院医学系研究科(分子精神医学講座 岩本和也特任准教授、文東美紀特任助教)および理化学研究所 脳科学総合研究センター(精神疾患動態研究チーム 加藤忠史チームリーダー)の研究グループは、慶應義塾大学、新潟大学、奈良県立医科大学と共同で、脳の発達中に、神経細胞のゲノムの中で、LINE-1(ラインワン)と呼ばれる転移因子(レトロトランスポゾン)が増えることが、統合失調症の病態に関わることを明らかにしました。本研究の成果は、統合失調症の病態の理解に大きな手がかりを与えるとともに、統合失調症の治療法、診断法や発症予防法の開発に寄与すると期待されます。
なお、本研究の成果は、米国の科学雑誌ニューロン(電子版)に掲載されます(日本時間1月3日 午前2時 発表)。本研究は、文部科学省科学研究費新学術領域研究「マイクロエンドフェノタイプによる精神病態の解明」、科学技術振興機構さきがけ(エピジェネティクスの制御と生命機構)・CREST(エピゲノム研究に基づく診断・治療へ向けた新技術の創出)、および文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として行われました。
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