【プレスリリース】脳腫瘍である神経膠腫の悪性化・再発時に起きるゲノム変化を解明

2013年12月13日研究


神経膠腫(グリオーマ)は、代表的な脳腫瘍のひとつです。診療経過中に悪性に転化することが知られており、多くの患者さんにおいて、この悪性への転化が死亡の原因になっています。しかしながら、この悪性転化の機構については、未だ良く分かっておらず、そのため再発時の治療法選択がしばしば困難です。

そこで今回、東京大学医学部附属病院 斉藤延人教授、武笠晃丈特任講師(病院)[助教]、東京大学先端科学技術研究センター 油谷浩幸教授、及び大学院生の相原功輝らは、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校のグループなどと共同で、低悪性度の神経膠腫(グリオーマ)が診療経過中に悪性に転化し再発する過程に生じる遺伝子変異を、全遺伝子解析を行って詳細に解析しました。これにより、再発に際しては新たな遺伝子変異が出現し、なかでも抗がん剤の一種であるアルキル化剤(注1)による治療が解析した23症例中10例で行われていましたが、その症例の半数程度で特定の塩基変異(シトシン/グアニンがチミン/アデニンに置換する変異)が高頻度に生じることを観察しました。

本成果は、特に低悪性度の腫瘍に対しての抗がん剤治療法の最適化について、検討を促す契機となるものです。なお、本研究は次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラムの一環として行われたものであり、また、医学研究における国際共同研究であることが特筆すべき点です。本成果は、米国の論文誌「Science」への掲載に先駆け、オンライン版の「Science Express」に米国東部時間12月12日に掲載されます。

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