【プレスリリース】マウスにおいてメタボリックシンドロームにおける新たな免疫細胞の役割を解明

2013年10月25日研究


―脂肪組織の慢性炎症を標的とする新しい治療の可能性を示唆―

近年、食生活の変化や運動不足に伴い肥満が増加しており、心筋梗塞や脳卒中の危険因子としてメタボリックシンドロームが注目されています。メタボリックシンドロームでは、脂肪組織に慢性炎症がおき、全身に悪影響を与えると考えられていますが、そのメカニズムはまだよくわかっていません。東京大学医学部附属病院 循環器内科 システム疾患生命科学による先端医療技術開発 特任准教授 西村智(研究当時。現 自治医科大学分子病態治療研究センター 教授)、東京大学医学部附属病院 循環器内科講師 真鍋一郎、東京大学 名誉教授 永井良三(現 自治医科大学 学長)は、2009年にマウスにおいてCD8陽性T細胞が脂肪組織の炎症を引き起こすことを明らかにしていました。

今回研究グループは、マウスにおいて脂肪組織に存在する制御性B細胞が、脂肪組織の炎症を抑えることを世界に先駆けて発見しました。また、この制御性B細胞は肥満するとマウスのみならずヒトでも減少することも分かりました。その結果、炎症を進行させる細胞の働きの方が炎症を抑える細胞の働きよりも強くなり、炎症が進んでしまう可能性があります。また、制御性B細胞が作るインターロイキン10が炎症の抑制に重要であることも見いだしました。

本研究の成果により、脂肪組織の制御性B細胞はメタボリックシンドロームの新たな診断・治療法開発の標的になることが期待されます。

なお、本成果は、イノベーションシステム整備事業先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラム(文部科学省)「システム疾患生命科学による先端医療技術開発」、最先端研究開発支援プログラム(内閣府/日本学術振興会)「未解決のがんと心臓病を撲滅する最適医療開発」の支援を受けて行われました。

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