【プレスリリース】自閉症スペクトラム障害の血液中マーカーの開発につながる成果

2013年09月19日研究


―血液中の代謝産物の網羅的な解析によって同定―

自閉症スペクトラム障害は、表情や声色を活用して相手の気持ちを汲み取ることが難しいといった対人コミュニケーションの障害を主な症状とし、一般人口の100人に1人以上で認められる代表的な発達障害ですが、この障害の診断や重症度を客観的に評価する方法は乏しいのが現状です。

東京大学大学院医学系研究科精神医学分野 准教授 山末英典、同研究科 こころの発達医学分野 助教 桑原斉、同研究科 精神医学分野 教授 笠井清登らは、客観的な評価方法を開発するため、網羅的に血液中の代謝産物を調べるメタボローム解析を行いました。その結果、自閉症スペクトラム障害を持つ群ではアルギニンなど4つの代謝産物の血液中濃度が、健常対照群に比べて偏りがあることがわかりました。この結果は、別の自閉症スペクトラム障害群と健常対照群においても確認されました。また、この4つの代謝産物の血液中の濃度を利用することで、自閉症スペクトラム障害の方か健常対照の方かを約80.0%という高い確率で判別できました。この結果から、こうした代謝産物濃度が血中マーカーとして役立つ可能性が示されました。

これらの成果は、日本時間9月19日午前6時にPLOS ONE誌(電子版)にて発表されます。本研究は、文部科学省「脳科学研究戦略推進プログラム」の一環として、また、科学技術振興機構「戦略的創造研究推進事業 CREST」の支援を受けて行われました。

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