【プレスリリース】若くして痛風を発症する遺伝子要因を特定

2013年06月18日研究


―痛風ハイリスク群の早期発見と発症予防に期待―

血液中の尿酸値が高くなると、痛風とよばれる激しい関節痛の発作を引き起こすほか、高血圧や脳卒中などの危険因子となることが知られています。痛風は、以前は中年以降の男性に多い病気であると考えられていましたが、最近では20~30 代で発症する患者も見られています。

この度、防衛医科大学校の松尾洋孝講師、中山昌喜医官、東京薬科大学の市田公美教授、および東京大学医学部附属病院の高田龍平講師らの研究グループは、痛風患者の発症年齢と尿酸を運ぶ輸送体の遺伝子解析から、若くして痛風を引き起こす主な要因がABCG2という尿酸輸送体の特定の遺伝子変異と強く関連していることを発見しました。すなわち、尿酸輸送体ABCG2に遺伝子変異が認められる場合にはそうでない場合に比べて、痛風の平均発症年齢が最大で6.5歳若いことが分かりました。そして、20代以下では痛風発症のリスクを最大22.2倍も高めました。20代以下で発症した痛風患者の約9割(88.2%)がこの遺伝子変異を持っていました。この成果は、2013年6月18日18時(日本時間)にネイチャー・パブリッシング・グループのオンライン総合科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。

ABCG2の遺伝子変異は比較的簡便な検査で検出可能であり、最近増えつつある若い年代での痛風患者の遺伝的リスクを評価するための有用な手段となります。これにより、痛風を発症するリスクの高い人を早期に見つけて、新たな視点から予防することが可能になります。若い時から健康管理をすることにより、痛風の発症が抑えられるばかりでなく高血圧や脳卒中の予防にもつながることから、生活の質(Quality of Life, QOL)を維持し長期的な医療費の削減にもつながることが期待されます。

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