【記者発表】新しい運動ニューロン病の原因遺伝子を発見

2012年08月10日研究


―筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態解明にもつながる成果―

近位筋優位遺伝性運動感覚ニューロパチー(Hereditary motor and sensory neuropathy with proximal dominant involvement, HMSN-P)は、日本に多い遺伝性の運動ニューロン病の一つで、成人期に発症し近位筋(体の中心部に近い筋肉)で顕著にみられる筋力低下が主な症状です。進行期には四肢末端の軽度の感覚の障害を伴うことがあるものの、その中核的な病変は運動ニューロン(運動神経細胞)の進行性の変性で、同じく運動ニューロン病の一つで難病とされる筋萎縮性側索硬化症(ALS)との類似性が指摘されてきましが、長らく原因遺伝子が不明でした。今回、東京大学医学部附属病院 神経内科(教授 辻省次)と徳島大学病院 神経内科(教授 梶龍兒)との共同研究で、次世代シーケンサーを駆使することにより、HMSN-Pの原因遺伝子がTRK-fused gene (TFG)であることを世界に先駆けて発見しました。また、HMSN-P とALS との間には共通した運動神経細胞死のメカニズムが存在することも見出され、本研究は運動ニューロン病の病態機序の解明に寄与するものと考えられます。

これらの成果は、米国人類遺伝学雑誌「American Journal of Human Genetics」8月号に掲載されます。

※ 詳細は添付のリリース文書をご覧下さい。

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