【プレスリリース】自閉症スペクトラム障害に脳の特定領域の活動不全が関与

2012年06月23日研究


―対人コミュニケーションの障害に特徴的な認知パターンを実証―

自閉症スペクトラム障害は、相手や場の状況に合わせた振る舞いができないといった対人コミュニケーションの障害を主徴とする代表的な発達障害です。この障害の原因や治療法は未確立で、高い知能を有する人でも社会生活に困難をきたしやすい現状にあります。

東京大学大学院医学系研究科精神医学分野の准教授 山末英典、同統合生理学分野の大学院生 渡部喬光らのグループは、自閉症スペクトラム障害の当事者では、他者が自分に対して友好的か敵対的かを判断する際に、顔や声の表情よりも言葉の内容を重視する傾向があること、また、その際には内側前頭前野と呼ばれる脳の場所の活動が有意に弱いことを初めて示しました。さらにこの内側前頭前野の活動が減弱しているほど臨床的に観察されたコミュニケーションの障害の症状が重いことを示しました(科学技術振興機構「戦略的創造研究推進事業 CREST」および文部科学省「脳科学研究戦略推進プログラム」による成果)。

今後はこの研究成果をもとに、これまで乏しかった対人コミュニケーション障害の客観的評価方法の開発や、自閉症スペクトラム障害当事者との相互理解の促進といった展開が期待されます。これらの成果は、日本時間 6月23日午前6時にPLoS One誌にて発表されました。

※ 詳細は添付のリリース文書をご覧下さい。

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