【プレスリリース】抗血小板薬の効果を“見る”時代へ

2025年05月15日研究

冠動脈疾患患者において、血栓は重要な役割を果たし、血小板凝集を抑制する抗血小板薬は冠動脈疾患管理に必須の薬剤です。しかし、生体内における血小板凝集の程度を直接評価することは、これまでの検査方法では困難でした。

東京大学大学院理学系研究科の合田圭介教授、東京大学医学部附属病院(以下、東大病院)検査部の矢冨裕教授(研究当時)・蔵野信教授、同循環器内科の武田憲彦教授らによる共同研究チームは、東大病院に入院し心臓カテーテル検査・治療を受けた冠動脈疾患患者(207名)から採取した血液内の循環血小板凝集塊を、マイクロ流体チップ上で高速流体イメージングにより大規模撮影し、取得した循環血小板凝集塊の画像ビッグデータをAIを使って解析しました。

その結果、冠動脈疾患患者では健常者と比較して血小板凝集が亢進し、特に急性冠症候群で顕著でした。また、血小板凝集塊の出現頻度は抗血小板薬の数が増えるほど低下していました。さらに、冠動脈疾患は動脈の疾患であるにも関わらず、血小板凝集の程度は静脈血と動脈血のいずれの検体においても良好な相関を認めることを発見しました。本研究結果は、冠動脈疾患のスクリーニング及び抗血小板療法の個別化、最適化、非侵襲モニタリングに貢献することが期待されます。

本研究成果は、日本時間2025年5月15日(18時)にNature Communicationsのオンライン版で公開されました。

※詳細は添付ファイルをご覧ください。


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