【プレスリリース】レントゲン1枚から「X線年齢」を算出

2022年12月15日研究

―新しい健康指標として期待―

理化学研究所(理研)生命医科学研究センター循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チームの伊藤薫チームリーダー、家城博隆研修生(研究当時、現理研生命医科学研究センター循環器ゲノミクス・インフォマティクス研究チーム訪問研究員、東京大学医学部附属病院循環器内科医師、榊原記念病院非常勤研究員)、東京大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の小室一成教授、榊原記念病院の佐地真育医長、長友祐司医長、井口信雄副院長・主任部長、吉川勉研究所・研修所所長、磯部光章院長らの共同研究グループは、胸部X線(レントゲン)画像から患者の年齢を推定する人工知能(AI)[1]モデルを開発し、その臨床的有用性を明らかにしました。

本研究成果の「X線年齢」は、一般診療で異常なしとされる画像からもより詳細にリスクを検証できる可能性を示すと同時に、心臓病に関する新たな健康の指標として臨床での応用が期待できます。

加齢やそれに伴う老化は、心臓病を含むさまざまな疾患の原因となるため、これまでに加齢や老化の程度を推定する手法の開発が多く試みられてきました。しかし、胸部X線画像のみから年齢を推定する手法や、推定した年齢の心臓病などへの医学的な意味付けは分かっていませんでした。

今回、共同研究グループは、AIを用いて胸部X線画像1枚から患者の年齢を推測するモデルを開発し、このAIモデルによる推定精度は胸部X線の診断に長けた専門医を上回る精度を示しました。また、推定年齢(X線年齢)を心不全患者1,562人に当てはめたところ、心疾患などの併存疾患がある患者はX線年齢が実年齢よりも高く推定されることが分かりました。さらにX線年齢が実年齢よりも高い患者は、低い患者に比べて、心不全による再入院・死亡率が有意に高いことも明らかになりました。

本研究は、オンライン科学雑誌『Communications Medicine』(12月9日付)に掲載されました。

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