【プレスリリース】家族のケアを担う子ども・若者の実態把握へ

2022年09月21日研究

―英国ヤングケアラー尺度の日本版作成と中高生5,000名へのヤングケアラー存在率調査結果―

ヤングケアラーとは、ケアを必要とする家族の世話や家事を行うことなど、通常は大人が負うと想定されているような責任を担う18歳未満の子どもや若者を指します。ヤングケアラーは英国で生まれた概念ですが、近年日本でも知られるようになり、国や自治体による実態調査や法整備の検討も含めた支援体制の構築が進められています。しかし、日本にヤングケアラーがどのくらいいて、どのようなケアを担っているのかについて、国際的に比較することができる尺度はありませんでした。

東京大学医学部附属病院精神神経科の笠井清登教授らの研究グループは英国ノッティンガム大学のStephen Joseph博士との国際共同研究により、日本と他の国の状況を比較することが可能なヤングケアラー尺度を作りました。さらに、その尺度を用いて、国内のヤングケアラーの存在率を調べました。これは日本で初めてのことです。

具体的には、英国放送協会(BBC)と英国ノッティンガム大学が共同で行った調査において用いられたヤングケアラー尺度の日本版を作成しました。そして、日本の中高生5,000名にこの尺度を用いて調査したところ、7.4%が「ヤングケアラー」に該当することがわかりました。ヤングケアラーは、そうでない人に比べて不安や抑うつ(気分の落ち込みなど)が強いこともわかりました。

今後、国際的に比較可能なヤングケアラー尺度日本版によって、日本のヤングケアラーの実情を詳しく調べ、教育、福祉、医療などの支援を届ける必要があります。

本研究成果は、日本時間9月21日に科学誌「Psychiatry and Clinical Neurosciences Reports」に掲載されました。

※詳細は添付ファイルをご覧下さい。


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