【プレスリリース】ステロイドの術前予防投与で食道がん手術後の在院死亡および呼吸不全のリスクを軽減できることを示唆

2022年07月15日研究

-国内医療ビッグデータからの知見-

食道がん手術は手術ストレスが大きく、呼吸不全などの術後合併症のリスクが高いことが知られています。手術直前にステロイドを投与することで、術後合併症のリスクを軽減する方法が1990年代に日本で考案され、食道癌診療ガイドラインでも「弱く推奨」されていました。しかし、根拠となった研究はいずれも小規模であり、その有用性は特に海外では議論の的でした。また、在院死亡に与える影響も不明でした。

この度、国際医療福祉大学の平野佑樹講師、板野理教授、東京大学の小西孝明医師、金子英弘特任講師、康永秀生教授、慶應義塾大学の北川雄光教授、国立がん研究センター中央病院の大幸宏幸科長らの研究グループは、国内の大規模な入院データベースを用いて、約35,000症例の食道がん手術症例を解析し、手術日にステロイドを使用した症例は使用しなかった症例と比較して、術後の在院死亡や呼吸不全が有意に少なかったことを示しました。また、近年普及している低侵襲な胸腔鏡下手術に絞った解析でも、同様な結果であることを示しました。本研究成果が、食道がん手術の成績向上につながることが期待されます。

本研究成果は、7月14日に米国医学雑誌「Annals of Surgery」のオンライン版に掲載されました。なお本研究は、厚生労働科学研究費補助金(厚生労働行政推進調査事業費補助金・政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)「診療現場の実態に即した医療ビッグデータ(NDB等)を利活用できる人材育成促進に資するための研究」(課題番号:21AA2007、研究代表者:康永秀生)の支援により行われました。

※詳細は添付ファイルをご覧下さい。



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